稽古場日記 1
『マリーアントワネット〜その光と影〜』のお稽古が始まりました。
この企画は、初の試みで…サロン風の会場に3人だけのモノローグドラマです。
宮廷音楽と歌曲に彩られた3人で構成する「一人芝居」みたいな作品になっています。
今まで『マリー』といえば以前に「ベルサイユのばら」を読んだのと
宝塚の舞台をビデオで観たくらいで、あまり知識がなかったのですが、
イメージとしては「ロココ調の超豪華な宮殿」「ドレス」「舞踏会」…って華やかなイメージだし、
これを舞台にするのは舞踏会とか宮殿がいるんだろう出演者も最低30人位いるんじゃないのか?
と想像したのですが、小さなサロン?出演者3人?!
どうも今回の作品はそんなんじゃ全くないようです。
「マリー・アントワネット」という時代の波に翻弄され、
強く成長していく一人の女性の心の世界を中心にが描いてあるようです。
この企画の為に選ばれた、サロン風の限定された白亜の空間は文句なし、
この作品にぴったりなんですが…今まで「舞台」という考えに囚われて
二次元でやってきたやりかたでは歯が立たない!
演出、出演者、関係者一同…頭を悩ます日々が続いています。
初めての企画…「演劇」でも「ダンス」でも「音楽」どのカテゴリにも
属さないパフォーマンス…演出のイメージは「動く絵画!どこをみても
一つの絵になるように創造したい。音に関しても空間全体を包み込みたい。
照明には極力助けられない「素」の良さを出したい。大体、この会場は
サロン作りになってるから照明はないに等しいからね(笑)」
といつにもましてアーティスティックな作品を目指している様子。
気づくともう10月…来月本番???
いつもの事ですが…この稽古期間で大丈夫なのか? 果たしてどんなモノが出来上がるのでしょう?!
今の時点で、イメージはまだまだ演出家の頭の中…
関係者一同、楽しみではありますが誰にも想像がつきません。
出来上がりはもう少し先のお楽しみとして(早く稽古して…)
稽古場の雰囲気は、当初この芸術的で重めの作品に気持ちが張り詰めていたのを通り越して、妙に明るい。
今回の出演者はさくら×2co.のおなじみコント…トリオ
「葵」「徳永」「梦月」ですが、彼女らいわく
「最初はマリーの“波乱の人生”の重さに、本読みを一度やっただけでも
体力と気力を消耗しきっていましたが、今はそのすごさも少しわかってきたし
この企画の面白みもわかってきたから大丈夫!慣れてきちゃったよ〜。」
と稽古開始時の「重いよ〜」と叫んでいたのがウソのように明るく
時には「フェルゼン!」「王妃様!」と「ベルばら」の世界さえ楽しんでいる。
…ただ一人、そのネタに参加できないのは「葵」氏。
今回の作品は3人によるモノローグドラマなので
皆がマリー以外にもいろんな役柄を演じる事になる。
フェルゼンを受け持つ葵氏は
「フェルゼン…王妃様がそんなに好きだったのかな?
わからん、王妃様もフェルゼンのどこがそんなによかったの?」
と苦悩している。
「フェルゼンは本当に一途だったんです!命をかけていたんです!」
と徳永、梦月両姫に言われても「わから〜〜んんん!!!!」と叫んでいた。
演出のこだわりは音にも現れていて
「フランス革命以前に作曲され演奏されていた曲以外は使用しない」ということで、選曲は相当困難らしい。
最近知った事だけどJ・S・バッハって18世紀の人だったんですね。(え?知ってる?!)
それ以外にも初めて名前聞くような音楽家の曲が集められていて
「セレブだね〜」という人、「ホテルで高級モーニングを食べてる気分」とか皆、いろいろ言っている。
先日、会場の見学に行ったけれど当然演劇ホールじゃないので
あまり知られてる場所じゃないけれど、本当に外観からして美術館のような
素晴らしい白亜の建物。中に入ってみると雪をイメージした真っ白の空間…
この作品にまさにぴったりの場所でした。
京都に詳しい人以外には少し聞きなれない場所ではありますが、
駅からも近くフライヤーの地図に則して歩くと、すぐにわかる場所です。
この作品はとても素敵な企画になりそうな予感…
ぜひぜひ、足を運んでみてくださいね。