第5場 〜はじまりはおわりの瞬間(とき)〜

 
コロス2「誰かが」
コロス5「出会って」

コロス2「粒子がうごく」
コロス3「原子がうごく」
コロス4「電子がうごく」
コロス5「遺伝子がうごく」

コロス2「うまれる」
コロス5「きえる」

コロス2「空気」
コロス3「光」
コロス4「月」
コロス5「水」

コロス2,4「はじまり」
コロス3,5「おわり」
コロス2,3「おなじもの」
コロス4,5「おなじこと」

コロス2「だれかが」
コロス3「だれかと」
コロス4「だれかが」
コロス5「だれかと」
 

沖田   「追いつきましたよ、土方さん。」
土方   「総司?!・・・逝ったのか、お前も」
沖田   「私はやっと自由になれたんです。」

 

沖田   「私は京に上って、新選組で戦ったことを誇りに思っています。」
土方   「・・・」
沖田   「だけど、最後まで一緒に戦いたかったな・・・」
土方   「総司、俺は北へ行く。蝦夷へ行って戦うんだ・・・」
沖田   「土方さん。」
土方   「・・・あきらめが悪いんだ、俺は。」
沖田   「あなたは思いのままに生きればいい。」

  

近藤「とし・・・もしも、俺たちが甲州で負けたら・・・」
土方「勝っちゃん?!」
近藤「としはどこまでも戦いつづけろ。例え俺と離れることになっても」
土方「勝っちゃん・・・」
近藤「もしもの話だ」
土方「そんなことはさせない!新選組は絶対に終わらない!!」
近藤「どこにいても、俺たちは共に闘う!」

 


琴「中澤琴、参る!!」

琴は近藤と土方に斬りかかる
沖田も応戦する

近藤「やっと浪士隊が京の都に着いたのに、無用な斬り合いは迷惑千万・・・」

土方「お前・・・女じゃねぇか。女にしておくには惜しい腕だ」

琴「女、女といわれるのは好きじゃない」

 

土方「女が強いのは面白くねぇ」

琴は土方を殴る

土方「何しやがる!?」

琴「あなたのような考えのものが、この国の進む道を狭めるのです。
 人であれば誰もが、筋道を通してより良き方向を定め、そのために努力し、
 自らの道を見つけて進むべきではありませんか?」

  



浅子「・・・びっくりぽんや。男女の差別なく、自分のやりたいことに
 まっすぐに向かっていきたい!中澤様、うちもおんなじ気持ちです。」

琴 「お手前は?」

浅子「うちは広岡浅子、この京で金融の仕事をしてます」

 

琴「さぁ浅子殿、こんなヤツにつけ回されぬうちに送っていこう。
どの浪士に金を取り立てに行くのだ?私が用心棒になってやろう」
浅子「中澤様、仲良うしてください!」

琴と浅子は2人仲良く退場する。

土方「・・・女に女を取られた。オレが負けた・・・」


 

琴「一つの思い出」
土方「一つの記憶」
近藤「一つの忘却」
沖田「一つの心」
琴「とりもどせない」
土方「とりもどさない」
近藤「とりもどせるなら」
沖田「とりもどしてみても」

琴「雪のように降り積もり」
近藤「降り積もり」
土方「悲しみの記憶」
沖田「喜びの記憶」

近藤/琴「どんどん降り積もって」
近藤「どんどん」
土方「どんどん」
沖田「どんどん隠されていく」
琴「埋もれていく」
近藤「埋もれていく」

土方/沖田「記憶」
琴「記憶」
近藤「記憶」
土方「記憶」
沖田「・・・これは誰の記憶?」