愛新覚羅溥儀 ■ 大浦薫


緊張して迎えた本番でしたが、

出る寸前、ラストエンペラーの思いを体に乗り移らせて落ち着きを取り戻しました。

彼の悲しみと幸せを伝えたい。

私はそのためにこの作品に出会い、この役を演じるのだと。



本番の明かりの中で、私はライトの向こうに見えるお客様の姿に、

彼を取り巻く冷たい集団を重ねみました。

たくさんの視線は私をみている。

けれどけして私の心を満たしてはくれない。



本番にお客様を迎えて初めて体験したリアルな思い。

精神的にはものすごいパワーを要した今回の作品ですが、

私の役者人生の中にはかなり強く残る作品になるだろうと思っています。



ありがとうございました。