出演者コメント

土方 歳三 as 大浦 薫

桜が満開の時期に、桜のように華々しく散っていった土方歳三を演じることができたこと、

新選組を愛する皆様、さくら2COMを応援してくださる皆様の思いや息遣いを

すぐ近くに感じながら一時の時間を共有できたことを、本当に幸せに思っています。

あの日見上げた桜を目の奥に焼き付けて、これからも自分の誠を探し続けたいと思います。

ありがとうございました。いつかまた、きっとどこかで。

沖田 総司 as 葵 かずき

ずっと沖田総司が歴史上であまり語られなくなってからを演じたいと思っていました。

華々しく活動していた時期と相反して病気で動けなくなり、

死を予感しながら、仲間と離れて一人江戸に残る事を余儀なくされ、

新選組は負け続け、病の身ではあっても「官軍」に幕軍の残党として追われ、かくれ暮らす日々・・・

土方さんは、近藤先生は、新選組はどうなっているのか想いをつのらせて、

どんなに悔しかったか・・・つらかったか。

その生い立ちから考えても、きっと彼は一人ぼっちを好まなかったはず。

その中で彼が見つけた誠は・・・

土方が己自身の中に誠を見つけて逝ったように、

総司も時空を超えて行ってしまった土方や新選組の仲間、

そしてまだ見ぬ未来の100何十年後に自分を大好きだといってくれる

多くの人達の想いを感じ、受け取ったからこそ

「己の誠」を確信して死んでいったんだと思う。(そう思いたい)

母の死後、私自身も「死」は肉体の死であり、想いは死なないのだと確信しているので、

「過去」を大切に「今」を生き「未来」を想い精一杯演じました。

全ての逝ってしまった人達の想いの上に私達は生きている。

精一杯生きようと思います。

次に総司を演じる事があれば・・・彼のようにもっと心の豊かな人間になっていたいと思います。

今回、客席から送られる熱い想いを感じ、沢山の力を感じながら舞台に立つ事ができました。

皆様のおかげで、「想いはつながっている」・・・と確信しました。



そうそう、本番中の不思議体験を一つ・・・私は「霊感」って奴はないのですが

・・・2回目の舞台だったでしょうか?

客席の最前列に4,5人の着物姿のお客様が座っているのが見えました。

次のシーンでよく見るとそこにはお客様は座ってなかったのですが・・・

決して嫌な感じではなく、暖かい感じがして「がんばろう」と思えたのです。



本番にお越しくださった皆様、来れなかったけど応援してくださった皆様、

時空を超えてきてくださった皆様(?)・・・本当にありがとうございました。

坂口 里乃 (明里) as 梦月 楓

桜が大好きです。

毎年、春になると泣きたくなるのを必死で堪える時があります。

きっと、里乃もそんな気持ちでみんなを見送って行ったことでしょう。

明里、という人物は新選組を語る上で、山南さんを彩る女性として登場しますが

本当に実在したかどうかも判らない人です。

名のある人たちと違ってそんな曖昧な存在であった彼女ですが、

この「北天幻桜」で描かれたように

西洋化する日本の激流に流されず、彼らから受け継いだ芯を持ち続けて生きた

「桜の幹」であったと、私はこの頃、本当にそう感じずにはいられません。

土方歳三のように鮮やかにも、沖田総司のようにしっとりともなく、彼女は静かに生きた。

散ることだけでなく、生きる様もまた桜のような人であったと、

5年目に至って見付けた 「里乃」 に思いを馳せた舞台でした。

皆様の息遣い、まなざしの強さを受け止めて立たせて頂いた舞台。

大切に心に留めておきたい作品になりました。


明治(あるいは大正?)に生き抜いた里乃が一人で語るクライマックス。

中野演出が最初に 「おばあちゃんになった里乃が、大勢の聴講者に語りかけるように」 と

言われたので、そのように演じるつもりでした。

けれど、いざ本番で皆様を目の前にして立ったとき、私は初めて、そこにいる

「受け継がれた人たち」 を本気で心の底からいとおしい、と思いました。

あんな感触は、いままで味わったことがありません。

彼らの想いが、血が、吐息が、その存在の全てが、いまここに繋がっている。

その感動と幸福感を言葉にすることができません。

いつか、そんな全てを表現できる 「里乃」 になれるよう、これからもまた

何度も桜を見送りたいと思います。

皆様にとって 「さくら」 が特別な存在であり続けますように。

ありがとうございました。