徳永 | 山南忌どうですか | |
大浦 | ベースはばっちりです。NY公演や、本公演があったので。 | |
徳永 | じゃあ何が問題ですか | |
葵 | ……「北天幻桜」が。 | |
梦月 | ごちゃ混ぜになりますね。 | |
葵 | 15分という短い時間で、テンションを本公演並みに持っていかないといけないので、それが結構しんどいです。 | |
大浦 | 中野さん書下ろしダイジェストです | |
徳永 | もし30分公演だったら? | |
梦月 | うーん……感情を高めるプロセスとしてはいいかもしれませんけど、一緒かな。15分間楽しんでもらえるものにしたいな、と思います。 | |
葵 | 楽しめるものにはなっていると思います。でも4月公演と同じ・似たセリフが多くて、「山桜」やったかな「北天」やったかな、と思うと難しいんですよ。 | |
大浦 | 喋りながらも、いろんな事を言い聞かせてます(笑) ここは京都、京都。近藤さんはまだ生きてる、とか。山南さんは死んだばかり、とか。 |
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葵 | 私もですよ。「私はまだ生きてる」! | |
「北天幻桜」は、蝦夷(北海道)で土方歳三が戦死する前夜の話。 「山桜幻想」は、明日、新選組が京都を去る、という日の話です。 |
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梦月 | そういう違いを舞台へ出る前に言い聞かせているんですね | |
大浦 | ていうか、やりながら(笑) 死んだ人を思い浮かべながら語りかけるのと、生きている人相手では全然違いますからね。 |
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葵 | 沖田くんは、同じセリフが沢山あるんですけど、生きている「山桜」と死んでる「北天」では息遣いも違うので難しいですね | |
梦月 | 私は2人を見るスタンスが違うので悩みますね。 「北天」では、歴史を受け入れて見守っているような明里やけど、「山桜」は何だったらまだ恨んでます、といった具合で。若い感情に戻らないといけないのが「おばちゃんもうしんどいわ」ってカンジです。 |
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葵 | 「北天」はもう明治10年くらいの話やもんね | |
梦月 | 明里はあの時にはアメリカにも行き、成長しているんだけど、「山桜」の明里はこれから死んでしまうだろうな、と思う人を見送る立場なので、なかなか感情がついてこないです。 | |
大浦 | 「真説」やNYから帰ってきた直後にやってたら、もっと違う感情かもしれませんね | |
葵 | そんな勝手なこと言われても(笑) だけど、やらせていただけるのは光栄ですね。新選組の本拠点である壬生で、新選組をやらせて頂けるなんて。 |
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梦月 | 呪われたらどうしよう! | |
徳永 | 大丈夫でしょう。 当日晴れるか、吹雪くか、でしょうね |
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梦月 | とっくんさん来たら吹雪くんちゃうの…… | |
徳永 | 私、ずっと光縁寺にいます。 | |
梦月 | とっくんさんは光縁寺に行くと晴れて、壬生寺に行くと吹雪くんです。しかも、お賽銭も跳ね返されて……(笑) | |
徳永 | あれはもう……新年早々! | |
大浦 | カンカーン!とね | |
徳永 | 今までお賽銭はじかれたなんて、ないですよ! | |
梦月 | 「いらんわ!」って(笑) | |
徳永 | その後で別の神社行ってお賽銭投げてみたらちゃんと入りましたよ……。 | |
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梦月 | 元山南さんから見て、「山桜」はどうですか? | |
徳永 | 今までの一時間30分くらいの芝居をダイジェストで上演するので、今までは「15分は短すぎるだろう!」って思ってたんですけど、最近は知らない間に引き込まれてて、ぐっと来るのでいい仕上がりになってるんじゃないか、と思います。 | |
大浦 | 明里の出から感動的になるんですよね | |
葵 | 我々が2人でセリフに詰まったら出てきてください(笑) | |
梦月 | 私は最近、出番のきっかけになる鳥の羽ばたきのSEに合わせて、誰にも気付かれないくらいに石を投げるマイムを入れて遊んでます(笑) | |
葵 | 明里が鳥を追っ払ったり食材にしたりするシーンではありません(笑) | |
徳永 | ●●のシーンで、随分ぐっと来ます。 | |
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徳永 | 山南忌への出演が決まった時の反応は? | |
大浦 | 稽古中の、休憩入った時くらいにメールが来て | |
梦月 | 「山南忌の出演決まったって!」って。 | |
大浦 | 「え、どうする!?」って。 | |
梦月 | 15分くらいだということなので、NYでやったパフォーマンスがいいかな、と言うてたんですけど | |
葵 | ああ、殺陣があって、日舞があって、ってやつね。 | |
梦月 | そしたら司太夫がいらっしゃって舞いをされ、演舞があり、ということなので | |
葵 | 「やめよう!」と(笑) | |
梦月 | それならどうしよう、いや私ら芝居やってるんだから、芝居やりましょう、と。 そしたら中野さんが「え?書けばいいんでしょ」って。「来週通し稽古ですよ」って。 |
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大浦 | 一応、一晩3人で悩んだんですけどね。 | |
梦月 | 翌週本当に中野さんが脚本あげてきて、翌日には立ち稽古で、さらに翌週には通し稽古が終わってました。 | |
葵 | そこそこ完成した形になってたけど、「北天幻桜」の稽古がいい感じになってきたら、「山桜幻想」とごちゃ混ぜになってきたね | |
大浦 | 当日に混乱しないように、洗脳しまくらないと。 | |
梦月 | 並列稽古がこんなにやりにくいとは思いませんでした。 | |
徳永 | 「さくらのごとく」から「北天幻桜」へ至る途中だから、やりやすいと思ってました。 | |
梦月 | 確かに。新しいエピソードとして思い出が増えるという意味ではいいんですけど、「北天」と同じセリフがあるので気持ちが違う分、ややこしいですね。状況が違うから……「私はいまどこにいるの?」みたいな気分になります。 | |
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梦月 | この前ウィキペディアを見たら、山南さんの項に「大河で堺雅人さんが演じて一躍有名になった」と書いてあって笑いました。 | |
葵 | 「さくらのごとく」の方が先だったんですけどね。 | |
大浦 | 大河まで山南さんってどういう位置づけだったんでしょう。 | |
徳永 | 土方さんのおまけじゃないですか | |
葵 | でも、昔のドラマとかでも、山南さんが主役じゃないのかっていうようなドラマもあるし。 | |
徳永 | 名前自体も知られてなかったし、私も「さくらのごとく」やるまでは知りませんでしたよ。どちらかというと坂本竜馬とか好きだったし。 新選組自体をあまり知らなかったし、調べ始めてようやく、って感じでしたね。 |
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葵 | とっくんさんの演じる山南さんは、すごくいい味が出てましたよね。 | |
徳永 | 私、演じ終わった役は抜けていくんですけど、最近なんか思い出すんですよね…… | |
梦月 | 戻ってきてるのね(笑) | |
大浦 | 今やると意外と出来るかもしれませんね。「さくらのごとく」。 | |
梦月 | 「北天」も「山桜」も、出てこないけど山南さんが主役みたいなもんですものね。敢えて浮き彫りになってる感じ……。 | |
葵 | 本当に実在した方の命日に、その役の人がいない状態でやる今回の作品は、なかなか巧いかと思いますね。 | |
梦月 | 15分とはいえ、とてもいい作品だと思います。 もともと一時間50分近い作品の「さくらのごとく」。次回が1時間20分くらいで、トータルで3時間近い作品なんですよね。それを15分に圧縮するのはホントに大変!でも、それを見た人が山南さんを偲んで下さればいいなと思います。 ついでに、その続きの公演も観に来てくだされば! |
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葵 | 「さくらのごとく」はものすごく縁のある作品です。 さくらさくらカンパニーの代表作といわれるくらいになり、NYで公演して賞を頂き、今回は縁あって壬生でやらせて頂くことになり。 勿論、いいことばかりじゃないけど、助けてくれて守ってくれている作品だと思う。そういう作品を壬生で上演できることがすごく嬉しいです。 |
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梦月 | NYで観客の方に絶賛して頂き、帰国してからも「凱旋公演やってよ」というお声も貰っていた作品だけに、本当の意味での「凱旋」公演が出来るのが嬉しいですね。 あとは観てくださってる方がさわやかな感動に包まれてくれればいいな、と思います。 |
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葵 | 新選組を通して語りかけているものを一緒に見てくれる心で観劇してくれれば嬉しい。頑張って生きていこう、という気持ちが伝われば。 | |
大浦 | 「山桜」も「北天」も3人しか出てこない作品だけど、出てこないその他の人たちの存在があって、その中央は山南さんだけど、そういう人たちの温もりを感じながら見て欲しいですね。 | |
葵 | 写真撮ったら、めっちゃ人多かったりしてね。 | |
大浦 | うーれしー。 | |
梦月 | みんなダンダラ着てたりしてね。 | |
葵 | ピースでね。すごい笑顔でね。 | |
梦月 | 作品には山南さんが出てきませんけど、舞台袖で音響をやっているのは山南さんです(笑) | |
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葵 | NYの頃は、まさか壬生でやるとは思いませんでした。 | |
徳永 | 私はなんか、これで終わり!って感じがありました。 | |
梦月 | 私は、またやるだろうな、って思ってた……。 | |
徳永 | やるかもしれないけど、私は終わりかな、って思ったんですよね。いつも光縁寺に挨拶に行くんですけど、いつも「また来ます」って思うんですけど、NYから帰ってきたときは「さようなら」って思ったんですよね | |
葵 | NY公演は5回公演でしたけど、いつもと違う環境でやりぬいたので、ある意味新選組に育ててもらっている感じがあります。 | |
梦月 | さくらさくらカンパニーの最初の公演として「さくらのごとく」があって、そこから今に至るまで足掛け5年間のうちに、ほぼ毎年やってるんですよね。やってないのは2007年だけなんですけど。 さくらさくらカンパニーは「さくらのごとく」と共に歩んできているので、私たちの歩みと共に気持ちを込めて15分を演じたいと思います。 |
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葵 | 「山桜」の設定は……初夏? | |
大浦 | 春くらいかな、と思うんですけど | |
梦月 | 私としては脳内劇場がありまして(笑)山南さんが切腹前に明里に託した桜の盆栽のさくらが咲いたから、会いに行こう、と思ったんです。 | |
一同 | ああああああ〜。(納得) | |
葵 | 最終バーゲンの最終日みたいな! | |
徳永 | クリアランス! | |
梦月 | 残り福!みたいな(笑) 明里の中では「許す」という気持ちはとうの昔にあるんですよね。意地っ張りなので「ごめん」が言えないだけで。 土方さんの方が行動力があるから、明里に会いに行ったりできるけど、彼女には出来ない。そこに、盆栽のさくらがぽっとさいて、山南さんが会いに行くきっかけをくれた、というような設定なんです。 |
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葵 | そっかー。山南さんっていい人なんだ。 | |
梦月 | 「今言わなければもう会えない」って。 | |
葵 | ああ!そこで「北天」につながるんだ! | |
梦月 | 15分とはいえ、私結構泣きそうになりますよ。「山桜」。 | |
大浦 | 確かに! | |
葵 | そういう気持ちに一緒になってくれればいいですね。 | |
梦月 | 山南さんを演じたとっくんさんが、この15分の作品「山桜幻想」を観終わった時って、どういう気持ちになりますか? | |
徳永 | ……(熟考)。ありがとう、かな。 | |
梦月 | じゃあ、そう山南さんに思って頂けるように頑張りましょう! | |
大浦 | お楽しみに! |