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梦月楓(坂口里乃) インタビュー

今回の「北天幻桜」で、今までやってきた「明里(里乃)」と何が一番違いますか。
なんかね……さっきちょっと言いましたけど、桜の樹。

私の中で里乃は「桜の樹」なんですね。

今までの里乃は春の桜の樹で、目の届くところに桜がいっぱい咲いている感じなんです。

それが山南さんだったり、土方さんだったり、沖田くんだったりするんですけど。

今の里乃さんは、一人なんです。周りに誰もいなくって。

里乃は「現実」の人で、一人でいるんです。人がいない。

思い出話というか、ものすごく長い脳内劇場をやっている気分です。

作品としては、蝦夷や多摩の河原やらが出てくるのですが、私はずっと部屋にいて、

テーブルひとつの空間で演じてるのが違いですかね。

今までは走ったり泣いたりしたことが、全部室内で、

一人きりでやっている感じなので、静かな気分です。
恒例の、「局中法度」にひとつ足すとしたら?
待ってました!「女泣かすな!」

一同:爆笑
徳永:それはちょっと……
ちょっと、山南さん、どういうこと!?
大浦:男役全員、難色を示しています(笑)
(ここで、女子を泣かすことについて熱論が繰り広げられましたが
 あまりに長いので、また別の機会にご披露したいと思います)
今回、なちさんは「明里」アンド「里乃」アンド……
伊庭っち〜!
どうですか、伊庭をやって。
愛してます!
思い入れのテンションが違いますね(笑)
いや!伊庭さんが好きなのは、明里じゃなくて梦月ですから(笑)

演じるのが楽しいです。
葵: 初めてなちさんと新選組の話をしたとき
「私、新選組好きなんです。特に伊庭八郎が!」って言って。
え?そんな人新選組におったかなって思ったんですよ。
いやいや、それ隊士じゃないし。ものすごい不思議な人だな、と思いました。
確かにその会話はした!

「私、新選組好きなんです」から「特に伊庭八郎が」って言うまでには、

30分くらいの思いの丈が割愛されてるんです!(笑)

でも当時そんなの話してる時間がなかったから、結論から言ったんです!

結論から言うタイプなんです。

そしたら、「私、新選組好きなんです。特に伊庭八郎が!」になったんです。
葵: 省略しすぎやな
でもね、でもね、勘違いしないでくださいね。

新選組の中で一番すきなのは、土方さんなんですよ。

山南さんは、土方さんに関わるエピソードとして好きだったんです。

「さくらのごとく」をやってからは勿論変わりましたけど。

で、土方さんに関わるエピソードとして、

一番いいな、と思ったのは伊庭八郎なんです。

……ダイジェストでお送りしました!語りたいこといっぱい端折った!(笑)
土方さんはどのへんが好きなんですか。
……生き方、かな、やっぱり。

自分でちゃんと武士道に幕を引いたところが。

人間どんなに長く生きても、80が限度じゃないですか。当時は特に。

どこで死んでても、別にそれは問題じゃないんです。

最後にどこで幕を引いたかってのは後の人が夢見ることであって。

やっぱり、死ぬまでに残っているものだったり、対処の仕方だったり考え方だったり、

そういうのが魅力的。

あ。沖田くんも好きですよ。
葵:「も」?「も」……。
うん。愚直なまでにまっすぐなところが。私にはない。

ひたむきというか、言葉悪いけど、そこまで何も考えずに行動できない。

全てを捨てられない。

いろんな打算なり、考えなりが働くので。

いろんなこと考えて、一番よかろうな、という道を進むから、

考える時間があるじゃないですか。

でも沖田くんは、それを考えない。その分、人よりもっと進める。
葵:でも、進んでいるって自覚は彼にはないよ。今しかないから。
たまたま新選組という団体に魅力を感じるけど、

それは彰義隊でも、赤報隊でも、白虎隊でも、みんな一緒。

みんなが一生懸命でひたむきで、本当に命の限りに生きている。

もうちょっと、ちゃんと生きればいいのに。自分も含めて思う。

自分がだら〜っとしてる時に、もっとちゃんと生きれるのに、って。

あのピュアな気持ちが日本人らしいところだし、憧れます。
今回、あの衣装(ドレス)でワルツがありますが……。
ええ……踊れる人が踊ればいいのに、って思います……。

ごめんなさい、ガンバリマス。以上。
以上ですか!?
だってもう、頑張るとしか言えない……。頑張るしかないです。

私、ワルツよりもチャンバラがやりたい!自信あります。

いつか、大刀振り回す役がやりたいです。男役はやりたくないけど(笑)

でも、「さくらのごとく」シリーズで一番強いのは明里だ!
土方さん、逃げられてますもんね(「真説」にて)
大浦: 逃がしてやったんだい


多分、お兄ちゃんにすごい仕込まれたんだと思います。
今回の作品の中で、もっとも好きな場面は?
(笑)伊庭!

あのね、伊庭さんのシーンは、自分の感情を差し引いても好き。

すごくいいシーンだなぁ、と思う。

最近、ヴィッちゃんの演じる土方が、

あのシーンですごく無邪気な笑顔を見せるので、萌える!



葵:萌えかよ!



なんかねぇ、こう……ぐっときますね! 泣ける。

あ、大鳥さんのシーンも泣けるんですよ?



葵:付けたしのような同情はいいんです!



いや!あのね、私、脳内劇場が活発なもんで。

お稽古中でも妄想タイムがスタートするんですよね。

里乃は語り部なので、喋らないシーンが多くって。

自分で思いを馳せてる、そこにヴィジョンが見えている、というような、

いわばずっと妄想を演じているわけですよ!私は。

そうするとだね、自分が演じながらもすごい妄想が働いて、

言葉にしているセリフ以上のことが、ぐる〜っとアタマの中を巡るねん!

そしたらな、セリフとセリフの間にそれが巡ると、ものすごく泣きたくなるねん!

……多分、端から見たら、泣けるシーンでもないんやけど(笑)
あいつ、何で泣いてんの?というような?
伊庭のシーンを除けば、エンディングが好き。

あれこそ、里乃の現在、だと思うから。

あれは……大切に演じたいなぁと思う。

……今はセリフでいっぱいいっぱいですが。

私でなくても、今から100年、200年後の人たちにも

同じことを言ってほしいと思います。
好きなセリフはなんですか
「必ず後の世まで届けます」

あのセリフは、感情が昂ぶって泣きそうになる。

そのセリフのとき私の目を転じた先にいる土方さんや沖田くんが、

すごくいい表情をしていて、その顔に至った全てを伝えるね、という気持ちになる。

好きというよりは、一番印象に残る。

あと、伊庭さんの「土方さん」っていう呼びかけが好き(笑)



大浦:俺も好き。



相思相愛でした(笑)
隊士じゃないけど「背中から斬られたらどうする」?
とりあえず、返り討ち(笑) まずは返り討つ!
一番男らしい答えが返ってきましたね
太刀を浴びたら、とりあえず返り討ち、やってしまい、

溜飲を下げて、そこから対策を練ります。
病院行きます?
里乃って……そういうところ私と似てて、自己治癒力を頼りそう。

寝てれば治る!みたいな。

座敷に上がってても

「今日は気が乗らないから舞わない」 とか言いそう。

しんどい、とか言うておっちゃんたちの同情かっといて、

医師代にしぃよ、ってボーナスもらっときながら、

ちゃり〜ん!よし、メリケン代!って(笑)
貯めてたんですか。
うん。貯めました。

多分ね、里乃は山南さんから貰ったお金は、死ぬまで使わなんじゃないかなぁと思う。

ずっともらった袋のまま持ってるのだと。

で、200年後くらいに鑑定団に出されるねん(笑)

里乃の意思を継いでくれる人がいて、鑑定団に出るとしたら(笑)

彼女が遺品を預かってくれて、その子孫が蔵から出すんじゃないかな(笑)

おばあちゃんがお世話になった人の遺品です、みたいに。
本番まであと1ヶ月半ですが、意気込みを。
「さくらのごとく」というシリーズのひとつの結末みたいな作品なので。

シリーズが終わるというわけではなく、

最後まで残っていた土方さんのエンディングを見る、という意味では「最後」なので、

里乃としても私としても目をそらさずにいたいな、という気がします。

桜の樹になれるように頑張りたいなぁ。

でもね、桜の樹ってね、多分、桜が全部散ったら泣くと思ねん。

でも、耐えて1年後にはまた桜を咲かせるじゃないですか。

あの強さが欲しい。

そういう強さを感じさせる里乃でやりたいと思います。