NYから1年4ヶ月ぶりの新選組ですね
梦月 母に、あんたらの専門かと言われました
思い入れもありますしね。
あのNYの最終日に、「つかんだ!」と思った
あそこへ帰るところから始めるわけです。

今回続編なので、そこに帰らないといけない。
1年以上経っているから、色々と経験したことも踏まえてね。
梦月 吸血鬼になったり、アラビア人になったり
大浦 飛行機を整備したり(笑)
梦月 でも ただいまって感じですね
思い入れがあって一度終わっている作品だから、そこに帰るのは簡単ですね
土方という役が入った真説が完成形と思ってNYに持っていって、
いろんな方たちから続編や再演をやってほしいと言ってもらって。
梦月 そして今回、土方さんが主役ですね
大浦 えらいこっちゃ(笑)
主役といって、何か考えたりプレッシャを感じたりしてるわけではないんですが
今回、3人だしね
大浦 前に、歴史モノローグシリーズ(以下RMS)を客席から観ていたときに、
この人たちはすごい!どうやってこんなものを作り上げたのか!って
思っていて。
梦月 憶えていません(笑)
大浦 そのすごいものを、いざ自分がやるとなるとなったら……怖いね(笑)
大丈夫か、私。
梦月 怖いとも!
大浦 でも、脚本をもらったときに、自分がやることは除いて−−−
除くな!
大浦 いや除いて(笑)
すごくいい作品だ!客席から観たい!って思って。
いい作品になるわって実感というか……確信があったから
梦月 今日のお稽古で、かずきさん泣いてましたもんね。
なんかね、いつも私がいつも遅れてヘタレて申し訳ないんですけど
今日初めて「あ、この脚本ものすごくいい」って思って。
大浦 泣けませんか、この作品。
梦月 泣ける泣ける!
梦月 この作品で私……ネタバレすることは言わないけど……
ものすごく私が盛り上がるところがあって、
思い入れのある人なら もう、うるっとくるような。
え、それどこ。
梦月 ●●●です。
ああ……。
梦月 思い入れのあるシーンがあるんだけど、そこに限らず
今回、明里の思いは結構深くて、しんどいなぁって。
重いのは 全員重いって
梦月 うん。でも作品には3人いるけど、生き残ってるのって明里だけやからね。
それを全部抱きしめて過去に返してあげるってのは、
ものすごい体力がいるのよ。
大浦 山南さんが1人今回はいない、っていうだけでも、今回すごい喪失感というか
ああ、過ぎ去ったことなんだって気がした
梦月 うん……もういない人なんだな、って感じ。
そうすると、今回山南さんがいないバージョンってのはいいのかもしれない。
その代わり、霊界担当は全部私……
梦月 霊界担当 沖田総司(笑)
初の幽霊です。
梦月 白い三角つけるんですか?
つけません
先週も今週も稽古してディスカッションして
やればやるほどね、疑問も出てくるし、要求されることも深くて
難しくなってく。
梦月 私今回不思議なのはね、中野演出が、しょっぱなからGOGO!って
飛ばしてることがすごい不思議!
一同 (笑)
梦月 だって、中野演出っていっつも、お稽古の中盤にならんと来ないやんか!
中盤も中盤で、みんなが「う〜〜!」って煮詰まってるとこに
「ただいま」って帰ってくるくせに、
今回しょっぱなからいて、1日目からずーっと飛ばして常駐してて
常駐 (笑)
梦月 「中野さん、さくらの演出家だったのね!」 って思うねん!
確かに、割とみんなが煮詰まるまでほっとくタイプやんな
梦月 中野演出も、すごい思い入れがあって……。
RMSって、わりと最初っから
「ああしなさい」「こうしなさい」ってあったりするけど
「今回は3人に任すから」みたいなところがある割には
すっごい、この想い、あの想い、ってどんどん持ってくる(笑)
ゼロからのスタートじゃない分、中野演出的にも、
「真ん中からのスタート」って気持ちがあるのかなぁって。
ベースになるものがやっぱり「さくらのごとく」やから、
みんなの役柄も、一度作ったものからのスタートやからっていうのもあるしな
梦月 中野演出の息が途中でキレないことを祈るばかりです。
大浦 途中でいなくなったりとか(笑)
梦月 NASAに帰ります、とか辞めて頂きたい!
こないだNASAだからもっと違うところかもよ
梦月 近場?
知らん。
梦月 中野演出、結構世界中歩き回ってるからな……。
一時期、パンダに会いに行くって言うてたし
ウソ!? パンダに会いに行く!?
梦月 一時期、何を聞いても「パンダに会いに行く」「パンダに会いに行く」って。
意味わからん……。
ヴィッちゃんは今回、RMS初めてじゃないですか。
最初、なちさんと二人で、「ずっと出ずっぱりだから楽屋に戻って
ヤキソバ食えん、弁当食えん、いちご食えん」 って言うてたじゃないですか。
このシリーズのパターンとして、「一度出たらひっこめない」んですよ
大浦 へー。
「へー」じゃなくて。
梦月 そういう宿命なんです。
普通の演劇って、どんな主役でも一度はひっこむじゃないですか。
それがひっこめないから、そういう意味での精神的なしんどさって
ありそうですけど、どうですか
大浦 長いこと芝居やってますけど、初めてだと思います。出ずっぱり。
梦月 出たら帰らない(笑)
大浦 初めてですよ。だから……セリフ忘れたらどうしようって。
確認しに帰られへん!
梦月 RMSって基本的に、出たあと舞台袖に戻るのは、死ぬときですから。
あーそうやね。マリーも、マリリンも。
梦月 マリーは処刑台へ、
マリリンは、死の前日、って設定でしたからね
大浦 気持ちが繋がって、最初から最後までいけるっていうのは、すごく気持ちいいかもしれない。
ここ何のシーンやったっけ、って判らんなったらおしまい(笑)
大浦 ここ池田屋違うで!(笑)
梦月 多摩やで!(笑)
精神的にクルよね。1本の作品中、ずーっと出ずっぱりで。
出たら最後まで戻れないから……すごく覚悟がいる。
梦月 前、「マリー」やったとき、とっくんさん(徳永)が、ずーっと過敏症になってて
鐘の音にすごい異常反応を示していて……ばらしちゃった。
びっくうっ!ってしてるとっくんさんが、すごいなぁって。主役だったしね。
大浦 そんなこと言い出したら、きっと私、風の音に怯えるようになると(笑)
本番の頃が、ちょうど桜の頃かな。
梦月 いいですね。今からロクソの前に桜植えに行こうか。
理想は、ロクソを出たら桜があって「ああ、桜だ」って思ってもらえたらいいのにね。
大浦 植えたらダメですか。
お客さんに何を伝えたいですか。
大浦 「ぼーっと生きたてらあかんで。」
人生は短いしね?
大浦 私も今回台本読んで思ったけど、自分の誠ってなんだろう、って。
きっと自分にもあるんだろうな、って思って。
お客さんも自分の誠は何かなって考えてもらえたら成功かな。
思うんだけど……自分の誠が何かって、死ぬまで判らないと思う。
死を意識したときに、自分の答えを見つけられるかどうかが人生の価値、かな。
大浦 答えを出せるような人生を歩めたらいいですね
そうですね。
大浦 ええ話や。
そういうことを、みんなが考えて生きてないわけじゃないと思うんですよ。
でも、日々忙しかったりいろんなことで消されてしまう。
大浦 世の中のしがらみに流されることもあるんです。

  to be contined....