NY滞在記 2006.8.12 Sat


到着して迎えた初の朝。
フツーなら観光に買い物に……とワクワクするところですが、
私たちは今日これからの舞台関係ばかりの予定に思いを馳せて
「さてやるぞ!」 とぎゅっと帯を締めるのでした。

7:00AM @ ホテル106号室

初ニューヨークの朝を迎えた私たち。朝は早いのです。

本日の予定は、

@現地世話人である竹松氏と落ち合い、 
A劇場付近の下見をして 
Bお稽古をし
C稽古場から準備をして 
D野外パフォーマンス(広報)に出演 

という多忙っぷり。

稽古用の荷物と、野外パフォーマンス用の荷物を詰めて、できるだけ少ない荷物で
(とはいえ、冷蔵庫、と別名を持つかずきさんのトランクにいっぱいになりましたが)出発!

8:00 @ Subwayでの悲劇

移動に便利な地下鉄。なんと$2で範囲内はいけます。
マンハッタン島を最北から最南端まで同一料金。なんて素晴らしい!
というわけで、NYでの移動には最適な地下鉄ですが……。

 ちょっと、テキトーすぎます。

切符を買って改札を通るのですが、通れません。文字通り、通れないのです。
スリット式の改札で、遅すぎても早すぎてもダメなのです。
しかも買ったばかりの切符が、機能しない場合も!
これで今回、泣いたのがとっくんさん、姐さん、かずきさんでした。

とっくんさん(徳永)&かずきさん(葵)がひっかかり、改札を通れない。
先に中に入ったなちが、外の有人ブースに向かって 「通れないんだけど!」 と
叫んでも、中のスタッフは電話しっぱなしで(!)聞きやしねぇ!

おーのーれー。仕事しろーーーー!
(NYの人は仕事中も全然お構いなく電話をしています。タクシーの兄ちゃんで
電話してなかった人はいないくらい!ずーっと電話してるんです。不思議……)

全員が一気に沸点まで怒りが達したとき、ちょうど来た電車から降りた現地のお兄さんが
すっと無言でメトロカードを通してくれました。

『あ、ありがとうおおおお!』

軽く手を上げて笑顔のおにーさん。ええい、どいつもこいつもサマになるぜ!

9:30 @ Astor Place

約束の時間から30分遅らせてもらい、待ち合わせ場所に到着。
ココにはおっきなサイコロのモニュメントがあり、待ち合わせには最適な場所かと。



竹松氏はすぐに現れ、はじめまして、よろしくお願いします。とご挨拶。
稽古場に入れるのは11:00からなので、それまで、そこから徒歩10分程度の距離にある
私たちが「さくらのごとく」を演じる劇場まで案内してもらうことに。

荷物が多いのと、上演前のため中には入れないため2手に分かれて行動。
荷物番のヴィッちゃん、美香さん、姐さん、やま妹さんはスターバックスへ。

 スタバのカフェエリアにて。

かずきさん、とっくんさん、なちは竹松氏と一緒に劇場へ。

途中には「ブルーマン」「STOMP」など、有名なブロードウェイ劇場が立ち並び
おしゃれなカフェやバーが軒を連ねていました。
(そして何故か日本食レストランも多かった!)
思わず目移りしそうなストリートを抜け、大きな公園の近くに劇場はありました。

時間的にもまだ劇場はオープンしていませんでしたが、小さな扉脇の窓から見ると
扉の向こうはとても広く、中が見れたわけでもないのにワクワクします。

明日から、ここで上演。
役者にとってこんなに胸躍ることはありません。

いい劇場だったらいいな。
異国文化を受け入れてくれる雰囲気を持った劇場だったら。

そういう思いを秘めて劇場をあとにしました。

11:00 @ 440 Studio

さて、NYへ来てもさくらさくらカンパニーは稽古を欠かしません。
(1週間のブランクがあるのでみんな進んで稽古をしたがります)
借りた440 Studioは、稽古場になる大小の部屋が2階分ぎゅっとつまっています。
Fringe Festival指定の劇場にもなっているホールがあり、ちょうど私たちが行った時にも
上演していました。

稽古場は鏡張りの広い部屋。稽古は最終の確認として、気負わず気楽に、けれど確実に
進んでいきます。

 

 

「のどが渇いた!」
となちは建物内の自動販売機へ。コインを入れて買おうとすると、水やコーラという
当たり障りの無いドリンクは完売していて、買えたのは原色に近いファンタのような
オレンジジュース(炭酸)。

「何からできてるんだろーな……」

ものすごいオレンジ色のドリンク。恐る恐る口をつけましたら、あら意外とフツーの味。
ちょっと炭酸のきついファンタのようで、見た目はともかくグビっと飲めました。

 なお、写真は初自動販売機にドギマギしているかずきさんです。

さらにその後、ヴィッちゃんもなちと同じものを買おうとしたそうですが、何故か出てこなかったらしい。
……最後の1本だったのかしらん。

15:00 準備開始

稽古場は16時までなので、1時間前に切り上げて準備に取り掛かります。

着物、髪型、メイク……路上パフォーマンスはかずきさん、ヴィッちゃん、なちの3人が出演し
他のメンバは浴衣を着て周囲を華やかに盛り上げるという段取り。

 

なちは明里の格好ではなく、フライヤで使ったのと同じ、天正姿。
(VIERAのCMの小雪さんをイメージしてください)
元美容師のやま妹さんに頭を作ってもらいつつメイクをしつつ。

かくして、フツーに入ってきた7人は、日本風味に大変身してスタジオを出たのです。

16:00 移動開始。営業活動開始。

やっぱり荷物が大変なので、浴衣組にはタクシーを拾って先に現地へ行ってもらうことに。
出演組3人は、フライヤを持って宣伝しながら現地へ向かいます。

ちんどんやとか言うな。音モノがなかったのに(後悔)

天正姿(とはいえ、多分現地の人にはゲイシャって言われるんだろーなー)にサムライ2人。
そしてやはり、女子は得です。
着物が華やかなせいもあるでしょう。メイクが特殊(朱で眼を彩っていたり)なせいもあるでしょう。
しかして、「ビューティホー」「ワンダホー」「クール!」と絶賛を浴びるなち(の扮装)。

NYの人たちは、小さなフライヤ(葉書サイズが一般的です)をしっかりと受け取ってくれます。
ありがたい。
フライヤの図面が和風なせいもあるでしょう。皆さん、にっこり笑って取ってくれるし
手渡しミスしても、わざわざ戻ってきて尋ねてくれます。
うれしいですねぇ。

16:00 移動開始。営業活動開始。

留学から帰ったばかりのるう(森本)に頼んで作ったアナウンスをとっくんさんが読みあげ、
パフォーマンスは、劇中オープニングの殺陣シーンから始まりました。
土方&沖田バージョンに少しショートアレンジされた殺陣。日本刀さばきに、観客大喜び。

MCを挟んで、次は主題歌「さくら」にあわせた日本舞踊です。

明里が登場し、3人の舞扇を使った日本舞踊。踊りながら見ていると、私たちの動きに合わせて
扇の手元を真似しようとしている観客もいらっしゃいました。
パフォーマンスが恙無く終わると、舞台から降りた私たちに暖かいお声と賞賛を頂き、
あらあら、10分足らずなのに素敵な結果。と、(あわただしかったけど)満足でした。

なお、先発した浴衣組も写真を撮られて、さらに「2分待ってろ!」といわれたのち
現像したものを頂いたそうです。いい思い出になりました。

20:00 ルビーレストラン

その扮装のままでホテルにもどった私たち。(タクシーに乗って帰ってきました)
ドアマンが「おお!」と笑顔で迎えてくれて、ホテルロビーで(誰もいないのをいいことに)
7人での集合写真を撮ってもらいました。

 とても疲れて、無理した笑顔の写真、できあがり(-公-;)

着替えてシャワーを浴びて、落ち着いたらおなかがすいてきました。
というわけで、全員で夕食へ繰り出します。
疲れ果てたこともあり、近場で済まそう、と、ほんとに近くにあった中華料理屋「RUBY'S FOODS」へ。
内装は凝ったアジアンで、いたるところに仏像が。中国画が。皿が。ディスプレイされています。
(チェーン店らしくいたるところにあるんだけど、中華と寿司とをコラボしたお店で人気があって
 場所によっては数日前からの予約がないと入れない、と聞きました。そうだったのか……)

円卓にすわり、英語だらけのメニュを読みつつ、おにーさんにお勧めを聞きつつ
みんなで適当にオーダーしたわりには美味なご飯にありつけました。

でも、私、ひとこといいですか。

「このスープって、どれくらいの大きさ?」
「これくらいかな。小さいよ、君たちでシェアするにはね」

と言ったウェイター(イケメン)よ。
あなたはそう言って、手のひらをお椀のように象りましたよね。
確かにそれじゃ味噌汁椀みたいだし、じゃあ2つにしようかしら。と、私言いましたよね。
「そうしたらいいよ」って、あなた同意しましたよね。


なんですかね、このボール(大)に入ったスープ。


本日の教訓:アメリカではアジア料理もアメリカサイズ。

ちなみに私の経験上、世界で一番日本人の口に合う美味しい中華はカナダで食べられると思います。
それにくらべたら劣るけど、美味しかったです。

さあ。明日はいよいよ本番です!