NY滞在記 2006.8.11 Fri

明里@梦月どす。
さてさて、今回の海外特別公演の一部始終を、余すことなくお伝えしましょう!

長い、長い旅。どうぞNYの空気を感じてください!

とうとう、ゴールデンウィーク最終日に合格通知が来た、

The 2006 New York International Fringe Festivalへの出発日がやってきました。

この日のために重ねてきた稽古や打ち合わせの数々。

周りの皆様に頂いた暖かいご声援を詰め込んだトランクケースは、

「Heavy」のタグが貼られるほどの重さになって、私たちと共にNYへ旅立つのです!

15:00 @ 関西国際空港

三々五々、関西空港4階の国際線のりばに集まるさくらさくらカンパニーメンバ。
丁度、この出発の前日に英国でテロ未遂があったため&お盆休み初日のため、
空港には沢山の人、人、人!

「これはかなりかかるかも……」

と覚悟して並んだボディ・チェック。

「……ピンポンが鳴るに100ペソ」
「鳴るな」
「多分ね」


と期待されたかずきさん(葵)は、案の定、ボディチェックゲートでアラーム発生。
……その、鋲のつきまくったベルトは、確実にアウトだと思うんですよ。うん。

出国手続きを無事に済ませ、出国ゲートをくぐったそこは、日本であって日本でない場所。
免税店が立ち並び、様々な国籍の人たちが闊歩するエリア。
普通なら「買い物〜〜〜〜〜〜!」と走りたいところですが。

「……カルネの申請、どこでやるの……?」

今回、さくらさくらカンパニー代表作「さくらのごとく」を演じるに当たり、
日本刀を始めとして様々な「日用品でないもの」を米国に持ち込む事になりましたので、
輸出−輸入であるという申請(『特別な』持参品は、売り物ではなく必ず持って帰ってくるゾ、
という税関申請)をしなければならないのですが、その場所が見当たらない!
空港職員に聞くと、「税関」なので出国手続き前にやらなければならない!とのこと。

出国手続きって……?今終わったコレのこと……?

慌てて出国ゲートの中を見てみると、手続きを待つエリアの一角に
フツーの長机&パイプ椅子に座った2人の職員。

「あ……あれ、税関?」
「……みたい、ですね」
「つーか、あれ普通に事務机で窓際族ですよね」

なんというか、「税関」ってもっとちゃんとしたエリアに区切られて
別室とかあるようなイメージだったものですから気付かずに
あっさりと通り過ぎてしまっていたのです!なんてこと!

事情を説明して、代表者1名のみが出国ゲートに逆戻り。
しょっぴかれたとっくんさん(徳永)を待つこと数十分……
かなり手間取りましたが、これで漸く出国です!

(そして日本の名残、とばかりにスターバックスでコーヒーを飲む私たち)

 
  
いよいよ、出発! ニューヨークへ行きたいかあああ!?おおおおおおお!

17:55 @ フライト

ユナイテッド航空に乗り込んだ計7名。なお、手荷物はMD、行灯、日本髪のカツラ。
ちなみに日本刀、木刀はゴルフバックに詰めて機内預けです。

……おかしい荷物。

13時間余のフライトで、まずはシカゴへ。乗り換えてニューヨークへ、というルート。
座席は二手に分かれてしまったので前組(とっくんさん、ヴィッちゃん、あねさん)の動向は判りませんので、
私がいた後組(かずきさん、美香さん、やまいもさん、なち)のレポートをお送りします。

フライトは定刻どおり、順調に出発。
滑走路を走り離陸するあの瞬間、ああ、やっとか……と感慨もひとしおでした。

3ヶ月弱の準備期間を経ての出発。

私個人的には6年も前に半年の留学をしただけの英語力で乗り切った今回のFringe Festivalへの道のり。
NY現地でのACR(団体世話人)になっていただいた竹松氏におんぶにだっこ状態だったとはいえ、
日本とは全然違う環境・状況・条件での舞台公演でしたので、細かなところから大きなところまで
取捨選択をする作業は想像以上に大変でした。
国内と国外、それぞれの動きの調整とリンクをはかり、連絡を取り合い、みんなでアタマを悩ませつつ
練り出した数々のこと。
全てがぎゅっとこの瞬間に集約して、NYへ続くこの滑走路になったような錯覚さえありました。

いってきます。

沢山の暖かい言葉をかけてくださった人たちに、最大の感謝をこめて。
飛行機は私たちの想いを乗せて旅立ちました。

13時間の機内

人それぞれに飛行機での楽しみはあると思いますが、私の場合は「映画」です。
というわけで、今夏公開の「Mission Impossible3」を堪能しました。ビバ。

他にも上映されているものは全部観るぞ!と意気込んでいたのですが、
あまりの睡眠不足と寒さにダウンしてしまいました。

冗談かと思うくらいの冷房で寒い+砂漠か!?と思うほど乾燥した機内のせいで、
アメリカに着く頃にはあねさんは喉を壊し、私は風邪気味でした……とほほ。

ちなみに「これが●十万円のフライト費の一部か?」と全員が立腹しましたのは、機内食!
「チキン or ビーフ?」 はどちらも油っぽくてアウト。
特にチキンを選ぶと、それはチキンカレーでして、その不味いったら……。

ワタクシ、帰路にはこの質問にはシッカリハッキリ「フィッシュ」と答えてやろうと決めました。

なお、お夜食には「きつねらあーめん」(原文ママ)が出てきます。
温いお湯で戻りきらないベビースターを食べているような……ッ!
誰でも作れるハズのインスタントラーメンを食べているのに、
どうしてパリパリしているのでしょう、食感。

「ニューヨークなのに、パリパリ……ふふ……」

そりゃあ、やまいもさんの駄洒落も冴えるってもんです。

あ、コーヒーはスターバックスだし、ビールはアサヒだし、ワインは美味らしかったです。
……ドリンクだけかよ!

 
 広がる雲海。やまいもさん撮影                  夜明けの空の上。かずきさん撮影


13時間のフライト(というよりは睡眠?)を越えて、シカゴのオハラ空港に到着。
日付け変更線を越えているので1日取り戻した感じです。
寝ていたので 「あ、日付け変更線が見える」 と呟いて
周囲の人を困惑させることが出来ませんでした。ちぇ。

オハラ空港はとても広くて、何よりも不親切な案内……。これには辟易しました。
スタッフも私語ばかりで、口先だけの丁寧語(英語ですが)がかえって腹立つ感じ。

あーのーねー。
国際空港なんだから、もーちょっと対応考えてよね。案内表示もっと立ててよね。

と、親切丁寧をモットーとする日本育ちの私たちはご立腹なのでした。
乗り換え時間ギリギリでなんとかセーフ! ほっとしました。

国内線は国際線に比べて機体が小さいので、なんだか「飛ぶバス」みたいな感じです。
夕暮れ時に飛び立ち、夜景の見える窓を眺めつつニューヨークへ。
山間部にポツポツと見え始めた明かりがどんどんと多くなってきて

「あ、明かりが」
「栄えてきましたね」
イカ釣り漁船みたいですね

などと言っているうちに、突然眼下に広がった明かりの洪水!

そう、そこは摩天楼! まさにここは

「ニューヨークだああああああああああああ!!!!!!!!(興奮)」

突然テンションアップの一行。まるっきりおのぼりさんです。

21:20 ニューヨーク ラガーディア空港到着

空港に迎えに着てもらっていたハイヤのお兄さんは、なんだかホストっぽくて一瞬驚きました。

……そういえば、ホストクラブも電話したら迎えに来ますよね、駅とか。
などと何故ニューヨークくんだりまで来て、日本の風俗事情を考えなければならないのか、私は。


NYの空気を感じつつ、大きな荷物をレーンから取り上げて、自分こそが「外国人なんだ」と
思うほどのいろんな人種の人に囲まれつつ、空港から一歩出ればそこは英語のあふれるNY!

あ〜。とうとう来たんだなぁ(しみじみ)

バンに乗り込み、多くの荷物を載せて、いざニューヨーク市内へ!
NYは道路事情が悪くてかなりガタガタとしていましたが、ハイウェイを飛ばしてもらって市内へ。

遠方に見えてくるエンパイア、クライスタービル、コロンバスサークル、セントラルパークの夜景に、
言葉も失います。街並みは映画で見たことのあるような、フロント階段のアパートメント。

NYは地盤が岩で出来ているらしく、地震がないので古い建物がそのまま残っているのだそうで、
なるほどレトロ感あふれる建物の隣に新しい近代建築が建っているような、乱雑とした雰囲気です。

坂のあるまっすぐな道。立ち並ぶ洋風(当たり前)建築。
古いのと新しい建物とが入り混じった中、明かりがオレンジにあたりを染めて
街行く人たちが颯爽と歩いてる。

ニューヨーク。ここはニューヨークですよ。
交差点を渡る人たちを見て、何故か私は実感しました。
私たちの中では「外国」。「映画の中で見たことある」場所で、日常を過ごす人たちがいる。
その「当たり前」空気を感じた瞬間、どこに行っても私は 「その場所にいる」 ことを実感するのです。
日常が息衝く中に、今まさに自分たちが降り立ち、同じ空気を吸っていること。

この人たちの日常感の中で、私たちは舞台を作るんだ。
そう思うと、今からドキドキしてくるのです。

22:30 ホテル到着

ホテルはセントラルパーク近くのアッパーウェスト。
高級住宅地エリアにあるので、周囲の雰囲気も閑静で良い感じ。

さて。予約時は6人1部屋だったのですが、
その後にスタッフが1人増えて7人になっていたので懸念でした。

「隠れる?」
「6人で通す?」
アジア人だからわからないんじゃない?

と言っていたのですが、正直に

「予約時は6人だったけどその後で1人増えて7人になったんだけど……」

と伝えましたら、フロントマンのイケメン(!)スタッフは
人差し指を立てて口にあて、ウィンクをして「しー」とスマイル。
その、なんてサマになること! 

「かっこいいいいいいいいいいい!」と、
チェックインをしていた私とそれを見ていたかずきさん。惚れた。

予約していたファミリースイートにチェックイン。
続き2部屋にダブルベッドが2つ……4人想定かよ!

7人で呆然となる私たち。どう考えても3つ分足りないよ。

……いやいや。待てよ。大丈夫さ。
畳をこよなく愛する日本人ですから、床に寝るのは無問題よ!

かつて、マレーシアでセミダブル1つの部屋に3人で泊まり、エキストラ毛布を敷いて
床で快適に過ごしたことのある私は率先してベッドより下へ。
……めざしのように並んで寝た3人(かずきさん、ヴィッちゃん、美香さん)は足が伸ばせず
かなり窮屈な想いをしたそうです。ふふ、ごめん。私確信犯かも。

ということで、2部屋3・4人に分かれて、就寝場確保。
明日に備えて、寝るべし、寝るべし。

こうして、移動日と到着を経て初日の夜は更けていくのでした。
さあ、明日から頑張るぞ!

 こんな感じで無理やり寝てみる。(寝起き) かずきさん撮影