先日、公演終了後の集合日があり久しぶりにキャスト全員が集まりました。

・・・といっても1週間足らずしか間はあいてないのでですが、
毎日稽古場で顔を合わせていたメンバーにとっては1週間はやはり長かったようです。

皆が 「まだお終わってから1週間なのに随分前みたいな気がする」 と言い合っていました。

そしてやはりあちこちから聞こえてくる本番の懺悔告白!!

・・・そんなことがあったなんて!?と思える本番時の様子を聞いてしまいました。



「カイン」公演本番を観た貴方は2度美味しい、観なかった貴方もきっと楽しめる

「カイン」公演日記・・・心当たりのある者達よ、暴露を怖れても 
もう遅い。

これはデライラの秘術をもってしても避けられない運命とあきらめてください。


* ドクターの失態

「カイン」キャラの中でカインを凌ぐ不動の人気を誇るドクター。

演じたのはいつも役の魂が乗り移ったような好演をみせるとっくんさん(徳永)

この日も麗しいスゴミを見せながら登場した。リフがカインの指に「血の誓い」のキスをする
印象的シーンの後だ。



「呪われし子、カインよ!・・・」



おっ、今日もドクターはかっこよく登場した!と振り向くリフ(大浦)とカイン(葵)

「………………!!!!!!!!!!!」 (凍りつくカインとリフ)・・・。

演技の問題ではないのです。

このときのドクターの衣装はベスト+ネクタイ+白衣。
渋い茶色系の柄ベストの下からネクタイの長い所がはみ出てるじゃないですか?!

カイン様いわく 「ドクターが後ろの高い場所に登場するから、驚いた演技で振り向いたら

ちょうど目の高さにドクターのはみ出したネクタイが見えて・・・演技じゃなく本当に驚いた」

と言っておられました。

熱演中の当人のドクターは全く気付いていなかったようで「そんなことしてた?」と言っていましたが
ちょうどそのシーンの写っている証拠写真を見せられ悲鳴と謝罪の嵐になっていました。

 証拠写真はコレだ!


* 執事は厳しい教育者

本番中、ほとんど出ずっぱりで舞台袖に帰ってきたら衣装早替りをして次のシーンに出て行くカイン様(葵)。

「シュゼットからミケイラに変わる以外はわりとゆっくりしているよ」というミケイラ(梦月)

「私は楽屋で苺食べてお茶飲んで着替えてる時間ありましたよ」というリフ(大浦)

「ほとんど出ずっぱりです」と泣くカイン様(葵)

そりゃ主役だから仕方ないですよ。弱音を吐かれては困ります。

舞台上でもカイン様の世話を優雅にこなすリフ(大浦)は舞台裏でもカイン様(葵)の早替りを手伝っている。
几帳面で手際のいいその姿を見て誰もが「さすがリフだ。」と思った・・・しかしカイン様に言わせると

「舞台上ではあんなに優雅に靴紐結んでるくせに、舞台裏ではすごい荒っぽい着せ方する。
もうちょっとちゃんとしてあげようとか思いませんか?」と文句を言っていた。

しかしそこは大人のリフ。

「私の教育方針は『自分のことは自分でやれ』ですから、手伝わなくても出来ることは自分でやってください。」

リフは教育パパのようです。


* カイン様のピアス

この舞台の為にピアスを開けたカイン様(葵)。ピアス先輩のミケイラなち&リフ・ヴィッちゃんに

「消毒しないと耳が腐ってくるぞ」 とか 「重いのをつけると耳がちぎれるよ」 とか

いろいろ脅かされて怖がっていましたが、カイン公演ではちゃんとピアッサーになってピアスをつけていました。

このピアス、原作では子供の頃にリフにあけられた設定ですが、この舞台では父と決別するために
最近カインがリフにあけてもらったということになっています。

劇中、父の策によってリフと自分が出会った事を覚醒したリフェ−ルから聞かされたカインが
自分の耳からピアスを引きちぎるというシーン・・・

投げ捨てるので本物のピアスからマグネットピアスに替える予定でしたが毎回忘れてしまい、
そのシーンになって天然石のピアスを毎回投げ捨てていました。

「・・・もったいない」 と小市民に成り果てたカイン様の話を聞いていたリフ(大浦)は
「父に伝えろ・・・」 とそのシーンでカインにピアスを見せられる度に

「あ、また付け替えるの忘れたんだ、あ〜あ」 と思っていたそうです。



前記のように手伝いをしてくれていたのがリフなので 「ちゃんとチェックしてくれたらいいのに」
とやはり文句を言ったカイン様(葵)に

「ですから私の教育方針は『自分でやれることは自分でやる』です。人をあてにしないで下さい。」

と厳し〜い教育的指導をしていました。


* オスカーの特技

フェードアウトとは音響用語で 「だんだん音量を下げて消していく」 手法ですが、

普通は音響機材に使われる言葉です。しかしオスカー(桜華)はそれが出来ます。

マリーを守るためにハーグリーヴス家に滞在する事を許され厳しい『滞在規約』を手渡されたオスカーは
「厳しいな・・・」とひるみ、カインに「約束できないってのか?」とつっこまれます。

ある本番時に迫真の演技で力の入りすぎたオスカー



「いや!約束する!!絶対に
 約束しゅる!!! 」




と赤ちゃん言葉になってしまい、それに自分で気付いて挙動不審になりその後のセリフが
とても人間業と思えない位、うまく自然フェードアウトしていきました。

どうやったらそんなにうまくフェードアウトできるんですか?


* 禁断の忘れ物

これをバラしていいのかどうか……悩んだのですが、やはりイチバン印象的なので。

千秋楽公演。そう、それは冒頭から通称「墓場」シーンへと移行する暗転中。
前場のハーグリーヴス邸から暗転になり、そこは仄暗い墓場のシーンへ……

カインが祈りを捧げ、シュゼットが滑り出るまさにその時!全員が息を呑んだ!

舞台上に……舞台上に、
ハーグリーヴス邸のテーブルセット
(しかもソファのクッションが重ねて2つ置いている)が残っている!!!!!


これを、舞台上では 「ハケ残し」 というのです。勉強になりますね。

もとい。

おそらく、祈りのポーズから目を上げたカインは驚いたことでしょう。
シュゼットの墓場の横に、白いテーブル。

シュゼットも驚いたことでしょう。白いテーブルに、重ねられたクッション。

袖で見守るスタッフ一同、 
「はうああああああ!」 と蒼褪めたのは言うまでもありません。

内心、かなり動揺しながら芝居を続ける墓場の2人。
その胸の内では

カイン 「あれは隣の墓!隣の人の墓なのだ!!!!」
シュゼ 「あれはソロバンの先生の墓!ソロバンを英国に伝えた偉人の墓なのよ!!!!」




ま ち が い は ど れ か 。



結局、すぐ後の子ミケイラ(通称)が出てくるシーンで一度暗転になってテーブルは
ハケられた(片付けられた)のですが、それまでに出てきて芝居をしていたリフは

リフ 「これを観るくらいなら俺を観ろおおお!」

とばかりに、挙動不審なほどテーブルの前に立ちはだかっていたそうです。

一瞬暗転になって 「あ!この瞬間にハケるのだな!」 と思った舞台上のカイン&リフは、
本気で祈っていたとか。

気をつけよう。暗転事故とハケ残し。
お客様はそんな時、 「ああ……」 と少し憐憫の目で動揺をひた隠し、何事もない
ように芝居を続ける役者たちのプロ根性に、そっと拍手を送ると良いと思います。


* 十字架

舞台の真ん中、浮遊するように迫る白い十字架。
あのスケールに目を奪われた方も多いでしょう。

今回も、さくらさくらカンパニーの魔術師 「じい」 の傑作が目白押し!
シュゼットの墓、ソファ3点セット(応接間が出来てしまいました)、テーブル、
ナイフ、聖剣、そして十字架。

他の細かいものを入れれば枚挙に暇がありません。

真っ白でおっきな十字架(180cmあるのです)は、本番の前日から、関係者一同の大きな
心の支えになりました。
本番前の誰もいないホールの中で、ただひっそりとそこにある十字架は、
まさに今回の公演の全てを見守っていたのです。

本番前、誰ともなくあの十字架に祈りを捧げて、開演を待っていました。

きっと素敵な舞台にします、と決意を込めた祈りを一身に受けた十字架は、本当に本当に、
私たちにとって神聖なものだったのです。

皆様の観劇の思い出の中に、あの十字架がそっと在れば、
私たちの心の拠り所を共有するように、大切にしてあげてくださいね。


* ガラの悪いオーガスタ(悪霊)

打ち上げでカイン@葵に言われるまで気付かなかったのですが、オーガスタ@梦月は
本番中、とてもガラが悪かったそうです。

通称「ミセリコルデ」というシーン。カインとジザベルの過去が交錯し、絶望という淵へ
ダイブするシーン。

アレクシスの過去にオーガスタが現れ、2人の背徳の関係が映し出されて、オーガスタは
精神を病んでしまいます。
そしてカインを詰り、彼女は身を投げて自殺……。

という、くだり。

発狂したオーガスタ@梦月は立ち上がる際に、長いドレスの裾を踏んでしまい、よろ、とよろめき。
さらにそのまま階段を上がる際にも裾を踏んでしまい。

まさにその時、近くにいたカインだけが聞いていた!

「………………ちっ!!! (`д´〆) (←憎々しげに)」

(すかさず)
カイン 「お、伯母様の様子が変だよ、お父様!!!!!」 (やや動揺)



そりゃヘンだろう。(−公−)




でもすみません。憶えてないんです。憶えてないんです。
多分、ていうことは素、なんですよね。こえー!

言い訳すると、ですね。
ミケイラ用に包帯を巻き、ほどけ防止にストッキングをはき、白い脚が見えるとダメなので
黒い靴下を履いていた私なのですが、オーガスタに履いていた靴は23cmのピンヒールだったんですよ!
私、23.5cmですもの、足のサイズ! 素足で履いてさえ纏足なのに、より纏足! モア纏足!

オーガスタがふらついていた理由は以上でした!ちっ!

えーと。以後気をつけます。


・・・どうです、皆様? あの耽美世界の舞台裏はこんな(違う意味で)禁断の世界だったのです。

ふふふ、まだまだまだまだま・・・こんなものじゃありません。どれだけいろいろやってってるんだ、キミタチハ?

という感じでファンの方々のお怒りを買いそうですが今回はこの辺で。

次回を楽しみに待つがいい!(ドクター風に退場)