「さくらのごとく〜新選組桜真説〜」が終わって間もなくの、メンバーに集まっていただき座談会を行い、
公演が終わってこそ言える裏話や、熱い思いなどを語ってもらいました。

2005年2月末 大阪市内にて


徳永 「そんなにネタないでしょう」
  葵 「そんなことないですよ!」
大浦 「本番当日は頑張ってましたけどね」
  葵 「ええ、一週間前もやってましたよぉ?」
大浦 「そうですかぁ?」
  葵 「夕焼けのシーンで、「よかった。おとうちゃんとおかあちゃんが仲良くなって」って言ったら、
     二人が必ず違う事を言うんですよ、その日によって。覚えてないかもしれませんけど、次、転換もあるから忙しくって」
徳永 「ああ、まあ殺陣もあるしねぇ」
  葵 「そういいながら、おかあちゃんはなんやかんやいいながら「おとうちゃんのせいやで」って言ってましたよ」
徳永 「よく覚えてないんですけど、いつの話ですか……」
大浦 「稽古中ですか?」
  葵 「稽古中ですよ!」
大浦 「真面目にやってくださいよ!」
  葵 「俺が悪いんじゃないです〜!」
NAOKO 「ていうか、セリフ覚えてないのに、そんなんは覚えてるんや」
  葵 「お父ちゃんのせいやで、って言ったら「お前が悪いんやで」って言ったじゃないですか〜」
大浦 「そんなの言ってませんよ」
  葵 「で、その次の週に「子育ては2人でやろう」って話が出てきたんですよ」
徳永・大浦 「ほお〜……」
梦月 「よう覚えてますねぇ」
NAOKO 「稽古中でもエチュードできるなんてすごいですねぇ」
梦月 「それエチュードじゃないですよ……」
  葵 「曲にもぴったり合ってるな、と思いながら「おとうちゃんとおかあちゃんが仲良くなって良かったな」と思っていた俺は……」
梦月 「あ!でも確かにそのときとっくんさんが「今だけやで」って言ってたのは覚えてる」
葵・NAOKO 「そうそう!覚えてる!」
  葵 「仲良くなって良かったな、って言ったらとっくんさんが、こっち見て「今だけやで」って言うたの覚えてる!」
梦月 「あるあるある!それは覚えてる!覚えてます?」
徳永・大浦 「……いやぁ……?」
  葵 「そのあたりは、また今回チクリ屋総司でサイトにあげようと思ってます」

  葵 「とっくんさんに関しては、1年経って山南さん帰ってきてお疲れ様でした、という感じで」
徳永 「1年……何を言えばいいんですか(笑)コメント書いちゃったら言うことないんですよ。読んでください」
中野 「とっくんさんが去年怪我して、とっくんさんにとっては辛い事だったと思うけど、あれがなければ
   さくらさくらカンパニーとして、「さくらのごとく」はもう一度出来なかったと思うんですよ。
   こうしてNAOKOさんとヴィッちゃん(大浦)と、タイミングが合ったということもあるんですけど、
   やっぱり人のタイミングってあるんだな、って思うんです……って聞け!」

(この間、録音をしていた梦月がテレコを移動させて周囲失笑)

NAOKO 「ほらほら、耳ダンボにして」
大浦 「(特大の耳をジェスチャーする)」
  葵 「おかあちゃん!おとうちゃん、あんなんや!」
梦月 「おかあちゃん、おとうちゃんの何が良かったんや?」
徳永 「騙されたんや」

一同(笑)

大浦 「どうぞ、続けて下さい」
徳永 「昔はかっこよかったんや(笑)」

中野 「それで!とっくんさんは痛い目にあって、みんなも大変やったけど、それがなかったら
   さくらさくらカンパニーとして形になっていたかどうかも判らないし、タイミングよく新しい出会いで
   この瞬間を作ることは出来なかったので、すごく有意義だったんだと思うんです、今考えれば。
   1年間でいろんなことがあって、色んな人がいて、その中で今にカタチに創りあげられたことが良かったと思うんです」

中野 「そのあと、暫くとっくんさんが怪我してることもあって、どこまで治ってるのか心配なこともあって、さくら全体のお稽古も、
     とっくんさんに対してもすごく遠慮したんですよ。でも、この「さくらのごとく」の稽古が始まってからとっくんさんが
     「最近あんまり(ダメ出しを)言ってもらえないので先輩に指示を仰ごうかなって思ってるんです」って話をぽろっとされた時に、
     私考えたんですよ。さくらっていうのは、前にはFANTASY ADVENTUREがあったけどシャッフルした状態で、さくらを作るときに
     「妥協しない。色んな人たちと色んな話をしながらやっていく。ダメ出しもきっちりやっていく」っていうことに対して、そこを決意して
     新しく作ったにも関わらず、私はとっくんさんに対して「とっくんさんにここまで言うたら、治ってないんじゃないのか、
     すぐ出来ないで自分の家で練習しはる人やから今は言うたらあかんのじゃないか」とか正直すごく遠慮してたんですよ。

     でも、その遠慮はダメだと思ったんです。それからはとっくんさんにはすごく失礼やな、と思いつつも、
     「とっくんさん、不器用やねんからきっちりやってください」とか「もうちょっと考えなあきませんよ」とか
     ちゃんと言うように心がけたんです。

     だからそれに関しては、今終わった時点で色々失礼なことも言うたかな、と思うので、お詫びと共に、
     本音で言わせてもらいました、という事を告白させてもらおうと思います。そのときに、いいものを創るために妥協しない。
     その為にすぐに物事が出来る人もいるし、何回も何回もやらなければ出来ない不器用な人もいる。
     その人たちが皆で自分たちのできることをやって、一つのものが出来てこそ、本当だと思うので、その妥協は今後もしたくない。

     ヴィッちゃんも、今回一緒に立ったことで、遠慮していた事も立ててくれたこともあるだろうし、また次、一緒にやれる時があれば、
     その時には心に上ってくるものをぐっと出して「いや、私は今までこうやってきた」とか「私はこうよ」って、
     ただぶつかり合うのではなく、お互いが今までやってきた信頼関係のもとに、お互いからもらっていきながら、
     いい物を作るために妥協しないっていう、いろんなことにおいてできるさくらさくらカンパニーの作品でありたい。

     また呼んでください、と言ってもらえるようなさくらさくらカンパニーにしたいと思っています」



徳永 「1年前、結局できなかったんですけど、事故の前のレベルって自分でなんとなく覚えていて、
     そこまでは最低いかなあかんな、ってのがあったんですけど、そこまで行けてないな、ってのがあって、
     それがすごく焦っていたんですね。台本もわりと変わってしまっていて、例えば坂口の設定にしても、
     前は「土方に似ている」 ってところまではあったんですけど、
     今回みたいに 「驚くほど似ている」 とか 「本当にそっくりだ」 とか、
     そういうセリフがあると 「そこまで似てるというのなら、そこまで創りこまないと」 とあった。
     土方君は目の前にいて、今までならセリフだけだった土方君が目の前にいる、というのもあって、
     坂口像にしても土方像にしても1から創りなおしだったので、それが物凄い時間がかかって、
     これはもう去年のレベルまで来てないな、ってのがあって、このままいってしまうのかってのがあったんですけど、
     ギリギリきたかな、きてないかな、っていう具合で本番だったので、不完全燃焼だった部分は残ってるんですね」
  葵 「自主公演しましょう」
梦月 「新潟?」
全員 「なんで新潟なんですか」
大浦 「酒どころだから」
梦月 「米どころだから」
徳永 「そんなの世の中に沢山あるじゃないですか。なんで新潟」
  葵 「待って、待って。誰が新潟って言い始めたんですか」
梦月 「誰かがね、新潟で公演って言うたじゃないですか」
  葵 「言うてないよ」
大浦 「誰か霊が呼んでますね」
徳永 「誰や、新潟で死んだ人。まだね、仙台なら判りますけどね」
梦月 「うん、山南さんの故郷」
徳永 「中越地震と関係が?」
  葵 「多分、とっくんさんがお酒が好きだから、新潟って言うてるのかと」
徳永 「濡れ衣だ!」
  葵 「東京公演ぐらいは言うてたんですけどね」
大浦 「かなり通り過ぎてますね」
梦月 「随分北に行っちゃいましたね。新潟まで行ったら五稜郭まで行けばいいのに」



徳永 「昨日、壬生寺に(お礼参りに)行ったら、「NHKに函館編を熱く要望するノート」ってのが出来てて。
     ああ、やっぱりこういうふうに思ってる人がいるんだなあ、と」
  葵 「山南さんの命日だったんですよね?この前」
徳永 「ええ、それで昨日ちょっと行ってきたんですけど、すごい混んでましてね。空いてると思ったのに」
梦月 「山南人気すごいですよ、やっぱり大河で」
徳永 「行ったら拝んでる人がいて、待って、そしたら後ろでも人が待ってて、全然ゆっくり出来なかったんで「じゃ!」って感じで。
    空くの待ってたんですけど、どんどん人が来たので、これはもうダメかなって」
梦月 「(03年の)12月公演の時はすっかすかでしたのにね」

徳永 「で、私の前に若い女の人が2人お参りをしていて、私がお参りしてたらなんかガサガサして
     「あの、ちょっといいですか」ってリーフレット出してきて、「ここに藤堂平助って書いてるんですけど、ここにはないんですか?」
     「ああ、ここじゃなくて御陵衛士だから」って話をしていて「かっしーと平助は御陵衛士だから……」って言ってたら
     「すみません、結構マニアな人ですか?」って言われて(一同爆笑)
     「あ、私たち友人たちの中で伊東甲子太郎は「かっしー」で沖田は「おっきー」なんですよ」って……
     マニアですかって言われて「いや、舞台をやっていて、先日無事に公演終了したのでお礼参りに来てるんですよ〜」って。
     それで「壬生寺には行きましたか?」って」
梦月 「ガイドまでやってきたんですか!(笑)」
徳永 「さすがにそこまではやってませんよ!勧めただけ」

  葵 「花見がてら兼ねて、みんなで壬生寺行きましょうね」
梦月 「絵馬も奉納してるしね」
徳永 「あ、でも昨日見たらなかったよ」
梦月 「え!焼かれた!?」
NAOKO 「一定期間で入れ替わるんじゃないかなあ」
  葵 「でも、知人が壬生寺に行ったとき「こんなのやるんや」って観光客が言うてるのを
     「やる」って言葉に反応してみたら、うちの絵馬だったって」
徳永 「お墓参りいってねぇ、かっちゃん(近藤)のところでお線香上げてる時だけ、雪がものすごくって!
     私のこときらいですかー!ってぐらい……。
     ライター借りてお線香上げたときにはもう前も見えなくて……局長、私のことは嫌いですかって感じでした。
     で、光縁寺に行った頃には晴れて、帰る頃にまたすごい雪で」
梦月 「山南さんには歓迎されたんですね。で、かっちゃんには「帰れ」と(笑)」



大浦 「おとうちゃんなぁ……あのとりあえず、すごく楽しかったです。いい台本をもらったなあ、と思って。
     最初読んだときに。でも、これ土方なしで、これまでの「さくらのごとく」と「異聞」が
     どんな話だったのかちょっと興味ありますね」
  葵 「じゃあ今度台本送る」
梦月 「ビデオでいいじゃないですか」
大浦 「どんなもんだったんだろう、と思いながら、きっと新しいものが出来たに違いないわ、と。
     それのお役に立てたならば本当に嬉しいことだなあ、と思いました。
     稽古もやっぱりすごかったですよ。わずかな時間も無駄にしない集中力」
梦月 「かなり無駄にしてた」
大浦 「少ない人数でも、みんなが集まって、がっと出来る時間がすごくあったからたとえ短期決戦であっても、
     やれることはやったなあ、って気がします。だからもっと時間をかければ、もっと良いものになっただろうって
     手応えみたいな将来感みたいなのがあったので、またできることなら、また」
  葵 「OK!次2時間15分でやろう」
梦月 「休憩入れて2時間半ね」
  葵 「でも、もっと見たいって言われました」
大浦 「ああ……できるなら今度は洋装でいきたいですね」
梦月 「萌え〜〜〜〜〜〜〜!」
  葵 「それしか考えてない!」
梦月 「判りました。じゃあ序章をやって、洋装で行って、その後すぐに10分休憩入れましょう」(笑)
大浦 「始まったと思ったら」
  葵 「これより10分間の休憩です」
梦月 「客 「ええええ〜!」 みたいな」
  葵 「それはまずいから、(衣装は)引き抜きだな」
大浦 「着膨れますよ」
  葵 「可能ですよ!」
大浦 「よっしゃ」



大浦 「私でも後から入れてもらっただけあって、土方さんのエピソードってかなり濃厚だったと思うんですけど、
     その分薄くなってしまった部分ってあったじゃないですか。
     明里さんの話とか、山南さんの過去とか……そういうのも全部盛り込んだ上で次は……」
梦月 「3時間ものや(笑)」
大浦 「同じ役をもう一度やるって難しかったんじゃないですか」
梦月 「でも、今回は 「さくらのごとく」 3回目やけど、土方が入ったことで台本が大分変わって。
     大筋は変わらないですけど、細かいところは全部変わったし、言うてはったみたいに
     相手役と自分との距離感が変わってるから、新鮮といえば新鮮でしたね。全く違うものでした。
徳永 「今まで通用していたのが通用しない、多分これでいけるだろう、っていうのが全然変わって、
     1から創りなおし、1から考え直しって感じ。去年役作りをしていたとき、ノートに色々書き付けていたんですね。
     それを参考になるかと思ってみたんですけど、全く役に立たないんですよ。
     これは前の台本に即してたら役に立ったけど、今回は全くダメだなって」
梦月 「12月にやったやつを2月にやったときは、それこそ、3人から始まって、2月の分は2人入ったけど
     シーンだけがネストされてる状態だったから、そっちの方が気持ち的には引き摺ってたものがありましたね。
     2月のリベンジだから、最初は、あんまり変えずに、あのままやろうって言ってたのに
     「んー? あの話どこに行ったのかな」 とか思って(笑)
     でも、だから土方っていうキャラクターが入ってきて、今まで3人で支えていた話が4人で支えることになったら、
     そりゃ1人分のパーセンテージは希釈になっていくけど、
     それがものすごい「これが本当のバランスだったんだろうな」って感じがしました。
     3人で支えていたのが、逆にきつかったのかなあ、って」



梦月 「舞台のあと、評論家がね、「去年も観たけど、去年は土方いなかったですよね。あの時は5人で新選組は
     ちょっときついなぁって思ったけど、今年は4人で充分だと思った」って言ってたんですよ。
     まあ、その後「カタチが出来てるんだから模擬刀じゃなくて真剣でも」って言ってたのでどうかとは思うんですけどね」
大浦 「どこの世界に真剣で芝居をするやつがおるねん(笑)」
梦月 「ねえ?でも、批評ばっかりするおっちゃんに「充分見ごたえがあった」って言われたときに
     「あ、なんだ。大丈夫だ」って思ったんですよ。やっぱりこれが真説だったんだ、って。
     観に来て下さった方たちも、去年の大河で新選組は今までより浸透してたのか「あのエピソードが見たかった」とか
     「この話が観たかった」て言うてくれたんですけど、観終わった後に「もういいや」じゃなくて
     「ここまでやってくれるなら、これも」って思って頂けるのは、お客様の想像力とか欲とかを引き出せた、
     成功した舞台だなあ、と思いました」