FA お稽古場日記
本番編…その2

 皆様、こんにちは!早くも「1999」公演本番が終了してから1ヶ月がたとうとしています。
 関係メンバーは皆、それぞれの次のゴールを目指してがんばっています。舞台は不思議な場所です。明らかに二次元のウソだとわかる世界でありながら現実世界では決して味わえない感動を演技者とお客様が一体になって感じる事の出来る空間です。私たちはこの舞台「1999〜」を終えて、それぞれの場所へ旅立ちました。薫や和彦、則夫・・・そして直人、それぞれが発見した新しい自分を心の引き出しにしまって、次の舞台に臨もうとしています。
 私たちにとって「1999〜」は本当に宝物みたいな大切な作品です。新しい自分を出発させてくれたこの作品に関係者の全てが感謝している事と思います。・・・いつかまた「1999〜」と出会う日が来るのかどうか・・・それはわかりません。でも、想い出深いこの作品に感謝しつつ、この作品からもらった力を忘れることなく次回からも頑張っていきたいと思います。
 ・・・それでは!「1999稽古場日記・本番編」総結集版・・・楽しんで下さいませ。


和彦のとさか

 公演本番のクライマックスに薫が和彦を湖へ誘うシーンがあります。このシーン、客席センター通路階段を薫が上がっていき、舞台上の和彦に手を差し出します。その手に招かれるように和彦は客席へと歩き、薫に抱きしめられます。階段の一段上に薫、下に和彦・・・という位置関係で立っているので(高さの関係上)当然、薫が和彦の頭を抱きしめる事になります。
 「・・・和彦は僕を愛してくれたよ。」と和彦の頭を抱きしめる薫・・・憂いを含んだ瞳で薫をされるがままの和彦・・・この和彦の横顔に悩殺、クラクラきた!ファンになった・・・なんて話を聞いていたのですが、出来上がってきた舞台写真をみて薫役・辻田と和彦役・葵は大笑い!!

 だって薫が和彦から離れた瞬間、さっきまで濃厚なまでに熱く抱きしめられ、頭をなでられていたせいで和彦・葵の髪の毛は逆立ち、まるで鳥さんのトサカのよう・・・。

「薫のように私も和彦の髪を撫でたい」なんて何人かに言われたから気をよくしていた和彦・かずきさん「こんなヒドイ頭になってたのか?」と絶句。
 「ん〜、ちょっと気になってたんだけどね〜」と笑う薫・辻田。一部始終を見ていた音響の梦月サン「あれは笑えたよ〜」
 ・・・いや、笑ってないで言ってあげてよ。

薫の奇行癖

 薫がいない母親に向かって話す長ゼリフがあります。母親は再婚して一人になったと悲しみ揺れ動く少年・薫。とてもとても悲哀のあるシーンです。本番で見ていたときは感動したのですが、写真で見ると何とも笑えます。
 受話器を持って泣いているシーンは酔っ払ってゲロはきそうなおじさんに見えるし、母親の結婚指輪を左手の薬指にはめた薫が手をかざしてそれをながめているシーンは「♪手の平を太陽に」を歌っているみたい・・・。
 本番時は素晴らしい演技力で薫を演じた薫・辻田・・・写真で見ると違う意味で面白い。写真ってコワイね。

「私」の不安

 今回の「1999〜」では「私」役が登場したという話は以前からしていましたよね。
 そしてあの名ゼリフ「・・・私がまだ何も知らなかったあの年の夏休み・・・」と言うセリフが初めとラストに出てきます。説得力のいる重要なシーンにのみに登場する「私」役のとっくんサン・・・「このセリフちゃんと言えないと幕が閉まらないよ〜!」ととてもプレッシャーだったそうです。
 本番時はシブイ演技力でそんな風に感じてるとは思いもよらなかったけど・・・そりゃそうですね。ラストで「私がまだ・・・(ん?なんだったっけ?)」なんてなったら皆でフリーズでしたからね。
 いや〜、プレッシャーのかかる役柄お疲れ様でした。

直人冷静になる

 中盤に直人と和彦が二人で語るシーンがある。直人「何を考えている?」和彦「あいつは悠じゃない・・・(忘れている)・・・」何かしゃべらないと・・・と内心うろたえる和彦・かずき「悠はいつも僕を辛そうに見ていた・・・」辛そうに見ていたのか、そうかぁ。
 後で聞いたらかずき「一瞬、真っ白になったから何か続けんと・・・と思ったねん」と弁解。直人役の桐生さん「ああいう時って、なんか妙に冷静になるよね。あ、和彦がセリフ忘れてる・・・何てフォローしようかな?って」
 何事もなく舞台は続いていったけど、どんなに稽古していても舞台はハプニングがツキモノ。
 必ず、誰かが何かしでかすんですよね・・・汗。

楽屋はドリンク剤だらけ

 差し入れに多くのドリンク剤をもらう。一日1本が基本のはずだが、薫・辻田は2本のんで頭がボーっとしたらしい。
 ちなみに和彦・葵は開演前に飲み忘れて開演してから出番のないときに楽屋までわざわざ飲みに帰ったらしい。
 本番前にドリンク剤で元気をつけたかったのに、客席出が多く楽屋に帰れなかった「私」役とっくんさんは「ドリンク剤飲みたかった・・・」とつぶやいていた。でも舞台監督の西川さんは食事をとらずに毎回舞台チェックしてくださっていたから毎食時の替わりにドリンク剤を飲んでいたのを目撃した。・・・と言う事は一日に3本??頭ボーっとしなかったのかな?


直人のリクエスト

 「今夜もオムレツでいい?」と則夫に聞かれた直人・・・

 「また?朝も昼もオムレツだったじゃないか?」
 則夫「じゃあ・・・スクランブルエッグならいい?」
 直人「オムレツでいいよ・・・」となるはずのシーン。

 直人「また?(略)・・・スクランブルエッグでいいよ。」

 そうか、直人・・・君はそんなにスクランブルエッグが好きか・・・。

則夫の口癖

 「だから僕は和彦が嫌いなんだ」という則夫のセリフがある。
 則夫役のつぐみは和彦役のかずきさんと話してからかわれると必ず「だから僕は和彦が嫌いなんだ!」と言う。
 そのうちに皆にそれが伝染したみたいで何かあるたびに「だから僕は和彦が嫌いなんだ」と言うようになった。
 和彦・葵「私が何したって言うんだぁ〜!」と訴えていたけれど、誰も聞いてくれなかったようです。

鳥かごと薫

 劇中、迷い込んだ鳥をカゴに入れて則夫が客席から舞台へと入ってきます。
 鳥かごの中は演出的に「籠の鳥は君たち自身」という事で実際には入っていません。行方不明の則夫を探して入ってきた直人、薫、和彦は則夫を優しく受け止めます。
 しかし、よくみると優しく受け止めていない奴が一人・・・薫・辻田・・・何も入っていない鳥かごの鳥の相手をして一人遊び。
 さすが演技派!というか薄情!と言うか・・・芸の細かい「ガラスの仮面」のあゆみさんのような芝居をしている薫・辻田でした。

わざと、じゃないの?・・・和彦君。

 薫と和彦が悠の死について感情をぶつけ合うシーン・・・白熱した北島マヤと姫川あゆみの一騎打ちのようなこのシーンで薫・辻田が気づく。
 「ん?和彦・・・白いシャツの第2ボタンが開いている?」
 同じ頃、「悠は僕の内側に土足で入り込んできてそのまま居座っているんだ!」と迫真の演技で胸に手を当てた和彦・葵
 「ん?何でシャツの中に手が入るの?」
 ・・・真相・・・。本番前に最終衣装チェックをした和彦・葵さん、体型補正の為入れていた肩パットがズレないように直していたらしく、そのあとボタンをはめ忘れたらしい。・・・チェックになってないやん。
 薫・辻田「・・・和彦、わざとボタン外して挑発してるのかと思った。」
 ・・・そんなはずないでしょ?多分ね・・・


 ・・・まだまだ、ありそうな気がするのですが・・・公演が終わってもう半年くらい経っている気がします。思い出したら、また書き出すかもしれません。
 ともあれ、無事に終了した「1999〜そして少年は飛翔する」公演・・・応援して下さった皆様、本当にありがとうございました。私たちはこの作品で得た力を大切に心に秘めて頑張っていきます。これからもよろしくお願いします。
 皆様のご意見・お便りを心よりお待ちしています。