FA お稽古場日記
本番編…その1


皆様、先日はFANTASY ADVENTURE公演
『1999〜そして少年は飛翔する』に多数ご来場賜り、本当にありがとうございました。おかげをもちまして無事、公演を終了する事が出来ました。また、当日ご来場頂けなかった皆様にもメール等で励ましのお便りを多数頂きました事、改めて御礼申し上げます。
沢山の愛情に支えられ本番を迎え、終了する事が出来ました事に関係者一同心から感謝しております。本当にありがとうございました。
…それではここで感謝の意味も込めまして(?)本番時の失敗談の数々を暴露したいと思います。
…はい!穴があったら入りたい人達!
隠れなさいよ〜!!


薫の唇が切れ、和彦は口内炎に…

先日お知らせしたがこの舞台ではほとんどの出演者が誰かを殴り、殴られる。
和彦役のかずきさんが本番前日辺りから「右の頬のウラに口内炎が出来て直らない〜!」といっていた。そして演出から「健康管理も役者の仕事です!」と怒られていた。舞台初日、和彦が思いきり薫を殴るシーンがある。
バッチ〜ン!!!すごく痛そうな音が聞こえた。出番を終えたかずきさんが
薫ことみっきぃに謝っている。かずき「ごめん、めっちゃいたかったやろ?」
みっきぃ「痛かった!だって口の中切れたもん!!」かずき「ホンマ、ごめん!!」みっきぃ「いいよ、そのあと和彦の首しめるの本気になれたし。」
かずき「ホンマ、ごめん!!」と謝りたおしたかずきさん…しばらくしてから
自分の頬を押さえやおら鏡で頬の内側をうつして「…口内炎と思っていたけどよく見たら、頬の内側キレてる。薫に殴られてるからや…謝り損した、おあいこやのに…」と悔しがっていた。しかし、殴るシーンはどれも皆本気でやっていたから痛そうだったなぁ〜!

薫みっきぃ、噛む。和彦、かずき忘れる。

…薫みっきぃと書いて何か懐かしい気がしたのは彼女がはじめてFA公演に参加してくれたのは『少女革命ウテナ』の薫幹(かおるみき)役だったからなんだな。それはさておき、本番後半の見せ場で和彦の愛を得た薫が母親に自らの心情を吐露する場面がある。「母さん!貴女は僕を愛してくれなかった…た…けれど和彦は僕を愛してくれたよ!」端から聞いていてそんなにおかしくは感じなかったのだが本人はひどく悔しかったらしく1回目の公演が終わってから舞台に戻って「母さん!貴女は…!」と何回も叫んで練習していた。2回目の公演の同じシーンでやたらこのセリフにリキの入ったみっきぃ…完璧に言い終えるとホッとしたらしくいつもより余裕のあるヘビ薫へと変化していい芝居をしていた。同じシーン、薫が母とやりとりをしている間、眠っていた和彦が薫と入れ替わって父と話し始める。「父さん、僕は貴方を死なせてしまった!」…思い入れひとしおのかずきさん、涙を流しながら迫真の演技!ああ…いいシーンだ。
そして和彦と薫の母との対話のシーン。和彦「子供はいつも幸せな時間を求めています…」???ちが〜〜〜〜う!そこのセリフは「子供はいつも親の愛情を欲しがっています。」でしょう???一瞬、ぴくっとした薫の母「私」役のとっくんさん「子供だけじゃないわ、だれでも愛情がなくては生きていけない。」と平静な顔で次のセリフを言っていた。…終演後、今度はとっくんさんにやっぱり謝りまくるかずきさんの姿が目撃された。

環境整備会社へ就職する直人

やはり劇中、直人ことしのぶさんが「そんな甘い環境で生きる事は僕には許されなかった!」と則夫に訴えるシーンがあります。「そんな甘い環境…(変な間)
を整えてはもらえなかったからさ!」…確かに意味は近いかもしれない。しかし、日本語として聞いてみるとなんか変だろう?!あとから照れ隠ししながら
「学院を卒業したら僕は環境整備会社に勤めます。」と宣言しているしのぶさんがいた。直人が環境整備ねぇ…

『私』あんなに渋いのに

映画版には登場しない「私」役のとっくんさんは今回の舞台、大好評で実際この役はナレーターにもなるし薫の母や和彦の父にも変化する大変難しい役です。
とても渋い声で和彦の父をこなし、優しい声で薫の母をこなす。…途中、全員がヘッセの「蝶」の本を持って朗読するシーンがある。とっくんさん…噛む。
「忘れる心配のない読むだけのシーンで噛むなんて私のアホ〜〜!」普通に聞いてる分には薫の時と同じくわかんなかったんですけどね。皆、自分に厳しい役者達だから許せなくなるらしい。でも、この「私」役は皆様の意表をついたらしく、また演技もすごかったから皆様から絶賛されてました。いいじゃないですか、ちょっと噛んだくらい…許せないですか?!

『私』あんなに渋いのに・2

暗転の中、たまご型のランプをつけて少年達が話すオープニングシーン。少年達のランプが消えた瞬間、それは鳥という名の少年達が神に向かって飛び立つとき。風が舞い、再び明かりがつくと、そこには「私」がトランクを持って立っている…。という、印象的なオープニングシーン。ただでさえ役者達は開演直前でどきどきしているところへ、開演間際にスタンバイしていたとっくんさんが突然楽屋へ走りこんできた。
「あ、明かり!明かりください!明かり!」
血相を変えたとっくんさん。真っ暗な楽屋にいたスタッフさんたちが何事かと大慌てで小さなペンライトで辺りを照らす。
 薄暗い明かりの中、スタッフが見たのは…稽古場で履いている白い上履き。(学校の体育館で履くアレ)。
なんととっくんさんは、バッチリメイクとキッチリ衣装を着て、本来なら黒い革靴のところを、本番直前まで白の上履きのままでいたのでした。
とっくんさんはその回が終わったあと、自ら暴露していましたが…そのまま出て行かなくてよかったですね。
(そのままだったら照明消されていますね byみっきい)


さて、みなさま。ちらりと覗いた本番舞台裏(失敗談集)お楽しみいただけましたでしょうか。「1999」のストイックな雰囲気とはうらはらの舞台裏、次回の大暴露もお楽しみに!