2003.10.21 担当 徳永

京都の東寺では毎月21日に弘法市というのが開かれている。

いわゆるフリマだが、古都らしく着物や骨董、茶器といったものが大量に安く売られている。

私たち3人は、今度の芝居で使えそうな着物を探すため、その弘法市に行く予定だった。

「〆日だから休まないで…(TT)」と懇願する優しい上司をふりきって有休まで取った。

なのに朝目が覚めるとどしゃぶり。みんな、今日やっとスケジュールを合わせられたのに…。

急遽、大阪市内にある、激安で有名な着物店へ行くことにした。11時半お店到着。

平日で雨のためか、客は私たちだけ。しかし安い、そして品数が豊富だ。

あまりの安さにワゴンの中の着物を底からひっくり返し「あっ、この着物カッコいい〜」「安―い」

「これは?この色はどう?」と大騒ぎをし、商品を持って店内をうろうろするマナー最悪の私達。

とても、分別わきまえた社会人のやることではない。

だが店主さんは、私たちの生地や色や柄についての質問に丁寧に答えてくださる。

「いいのよ、ゆっくり見ていってね」と優しくおっしゃってくださる。

消費税のサービスまでしてくださった。3着買って\3,700!ビンボー人に大変優しい店だった。

その後、小道具を探す為、看板、食品サンプルなど業務用の品が多く揃う道具屋筋へ。

目当ての品はなかったものの、いつもながらこの商店街は見て歩くだけで楽しい。

葵さんは仕事のため、4時には京都市内に戻らなければならないという。

じゃあもう1時半だしランチしてぼちぼち帰りましょうと、パスタを食べに行くことに。

わーいパスタ♪と思ったら、葵さんがいきなり「3人でプリクラ撮りませんか?」と言う。

は?プリクラ?仕事だからご飯食べて早く帰らなきゃって言ったの葵さんでしょ(--#)と思い

「何言ってんですか、早くパスタ行きましょうよ」と促す。

「でもでも、ほらこれ見て、衣裳無料で貸してくれるみたいなの」と引かない。

最近のゲーセンではプリクラのために無料で衣裳やかつらを貸してくれるのだ。

「ねえねえ、衣装借りて3人で撮ろうよ〜!」とさらに強引になる葵さん。

衣裳ケースの中には、エプロン、ナース、セーラー服に始まり、チャイナドレスに幼稚園児服、

果てはテツ&トモのジャージとやらまで用意してある。

梦月さんも「あたし、このバニーちゃん着る〜♪」とすっかり乗り気だ。

しょうがない、これも付き合いだ(-_-)…と私も衣装を選ぶ。

しかし太り気味の私は体のラインがバッチリ出る衣裳は避けたい。

お、タイガースのユニフォームと帽子あるじゃん。しかもLサイズ。よしっこれ!

先日、ホークスに大敗したタイガースだが、頑張れ仙ちゃん、負けるなタイガース。

日本一への祈りを込めてユニフォームに袖を通す。

「私、学生の時ブレザーだったからセーラー服に憧れてたの♪」と心底嬉しそうな葵さんと

「胸はどこまで見せたらいいかしら」と悩殺バニーガールの衣裳で真剣に悩む梦月さん。

ああ、私はそこまではじけられないわ、と感心しきり。

\400投入。プリクラなんて本当に久しぶりだ。しかもめちゃめちゃいろんな機能がついている。

意外に面白いので、もう\400追加して3人でポーズを変えバックの色を変え撮りまくった。

撮り終えて、さあ着替えようかという時、葵さんが「私、1人で撮る!」と言い出した。

「ええー!?」と驚く二人を無視し、いそいそと財布から小銭を取り出し撮影を始めた。

美白モードで…全身モードで…バックはイエローで…ポーズはこうで…と嬉々として撮る葵さん。

「似合わねえ…(-_-)」と梦月さん。「よくやるよね…(--;)」と私。

だが仕上がったプリクラに私達は激しく動揺した。「………!」「この写真は…!」「すごい…!」。

そう、近年の写真加工技術の向上は著しく、そしてセーラー服の威力はすごかったのだ。

推定年齢●●の葵さんだが、どこからどう見ても女子高生にしか見えない仕上がり。

予想外の出来に「すごい」を連発して興奮が収まらない。

いやーすごいわぁ、ええもん見せてもらいましたわぁと大阪のおばちゃんモードで興奮しまくり、

小一時間後、ようやくパスタにありついたのだった。

その日の夜、稽古場で道具担当のGさんにプリクラを見せた。

Gさんは黙ってプリクラと葵さんを見比べ「…これってサギですよね…」とぽそっと呟いた。

サギといわれ不服そうな葵さんだったが、実際そうなのだからしょうがない。

さあ、みなさんもプリクラでギャルってみませんか。新しい自分を発見できますよ。

※注 これは「さくらのごとく」稽古場日記です。