2003.10.14 担当 徳永

今日は朝から雨。夕方になってもちっとも止まない。しかも10月だというのに真冬並に寒い。

稽古場に行く途中で、ばっしゃーんと豪快に水溜りに足を突っ込む。

ヒールにストッキングという防寒仕様のない足元は容赦なく冷えていく。

ええーーん、冷たいよおー(T_T)。残酷なことに途中 [居酒屋ほっこり] という店がある。

その暖かそうなネーミングと店の明かりに吸い寄せられそうになりながら、必死で稽古場到着。

「た、助かった…」と気分は遭難者。

稽古場には、今回演技面も含めいろいろお手伝いいただいているSさんがいた。

実はこの稽古場はSさん所属の劇団の専用の稽古場だ。今回そこを好意で貸していただいている。

稽古着に着替えて一息ついていると「おう、上にあがってこいや」とSさん。

中2階みたいなところを更に上っていくとそこは事務所になっている。

ア●クルのカタログなんかも置いてあって、いかにも会社っぽい。

梦月さんとSさんと3人で打合せを済ませると、Sさんが「衣裳部屋、見るか?」と言った。

……いろんな人がその衣裳部屋で恐怖体験したというのはこの間、葵さんから聞いている。

けどSさんも梦月さんもそばにいるし大丈夫よね…。好奇心に負けて梦月さんと衣裳部屋に行く。

かつらや衣裳がたくさん置いてあって、いかにも衣裳部屋といった風情。

「かつらを人と見間違えただけかもね〜」と自分に言い聞かせる。うんうん、きっとそう。

その後ストレッチと発声をしていると、仕事が長引いたのと雨による渋滞でかなり遅れると葵さんから連絡が。

電話のむこうで葵さんは「すんませんすんません」と悲痛に連呼していた。

今日は初の立ち稽古。台本最初の1場と2場をやることになっている。

しかし1場は葵さんと梦月さんの二人の芝居。葵さんがいないとできないのだ。

「どうします〜?」「う〜ん」虚しく流れていく時間。

とSさんが「おっ、そうや。殺陣のシーン用の刀あるで」と大きな箱を出してきた。

箱の中には大小さまざまな刀 (もちろん本物じゃありませんよ、お芝居用のものです )がずらり。

「おお〜」と皆感嘆。壮観壮観。

「そや!葵が来たら、みんなで刀持って[遅い!]言うて迫るか?」とSさんが提案。

わあ面白そう〜!(^0^)と一目散に刀に群がる私たち。

ついさっき到着した道具担当のGさんを加え、4人でウキウキしながら待つ。

しばらくすると車の止まる音が。「来た〜!」と稽古場入口に殺到。手を束にかけ半円状に並ぶ。

気分はキタノの座頭市。

Sさん「(嬉しそうに)俺が抜刀って言うから、そしたらみんな刀抜いて[遅い!]って言うんやでー♪」  私たち「は〜い♪」

バタン、カツカツ、ゴソゴソ、ガタン。

葵さん「遅れてすいませ…」 Sさん「抜刀!」 全員「(抜き身をかざして)遅〜いぃぃ!!」

葵さん「う…わあ。……なにやってんの?(-_-)」

半ば呆れ顔の葵さんを尻目に「どう?かっこいい?」「これすごいでしょお、この刀〜」と

葵さんをびっくりさせるのに成功したとハイタッチで大はしゃぎな私たち。

おいおい、そのパワー芝居に回せよ…とどこからか聞こえたような…。

……そしてそしてようやく稽古開始。

当たり前だけど、立ち稽古は脚本を読んでただけのときとは全く要領が違う。

戸惑いはそのまま芝居に出てしまうので、役者3人、Sさんからダメ出しの嵐をくらう。

立ち稽古は初めてだし焦ることないんだけど、うーん遠いわあゴール、頑張れニッポンって感じ。

稽古を9時半で終了し打ち合わせに入る。

ウルトラビンボーユニットなので、いかにして経費を削減するかなのだが

「もうこれ以上削れません!」というところまできているので(いやマジで)名案は出ず。10時半解散。

寒い、眠い、腹が減ったと遭難条件3拍子がそろった状態で12時帰宅。

我慢できずカレーうどんを食べる。深夜の食事に「太る…」という後ろめたさを感じつつも、

だって寒いんだもん!おなかすいてたんだもん!と何かに向かって言い訳。

食べて体があたたまると、ほっとしたのかさっき食らったダメ出しを全部忘れてしまった。

だめね私ってば、やっぱり先は長いわーとしみじみしたところで今日の日記は終わり。m(_ _)m