<はらはらドキドキの、本番舞台裏・突撃レポート! by明里>

無事に 「さくらのごとく」 本番も終了いたしまして、関係者一同、ほっと一息。

皆様、お待たせいたしました。

チクリ屋・明里による、本番裏突撃レポート、いきます!

今回もモチロン、無断掲載ですよ。ふふふ。


【沖田総司 編】


■■ 其の壱 ■■

公演初日。

それは、役者にとってとても緊張する日です。

初めてお客様たちの前でご披露するお芝居。初めての反応が返ってくる場所です。

テンポの良い、遊郭島原のシーン。

一度退場して、羽織を脱いで、下駄を脱いで、刀を置いて、そしていつも通りに出てきた沖田君。

「女の人がいっぱいいます……!」

遊郭を知らない沖田君の純情ぶり 奇行ぶりに、客席からくすくすと、笑いが聞こえるではありませんか!

稽古場では誰も笑わないシーンだっただけに、気をよくした沖田君。

突然、全体的に動きが 「コメディ仕様」 となり、落ち着きのないことこの上なし。

終演後、山南さんに 「もっと落ち着きなさい!」 と怒られていました。

■■ 其の弐 ■■

「山南さん、大変です! 古高俊太郎が吐きました!
勤皇派はこの京を焼き討ちにして、天子様を連れ去る計画です」

このセリフは、かの有名な 『池田屋事件』 前夜の沖田君のセリフです。

盆栽を前に、泰然と聞く山南と対峙する重要なシーンの出だし――。

なのに! 葵さんときたら、このセリフが全っ然憶えられないのです!

「今までの芝居人生でこんなに酷いのは初めて」 と仕切りに訴える葵さん。

訴えようがどうしようが、憶えられないものは憶えられない。

でも、無常にも本番はやってくるのです。

ひたすらそのセリフを繰り返すせいで、周りのキャストはしっかりと覚えてしまったのですが

やっぱり自信のない葵さんは……なんと当日、こっそり手にカンペを書いていました。

「うわー、サイテー!」 という明里&山南の非難さえも無視!

でも取りあえず、本番では忘れず言えたみたいです。よかったよかった。

■■ 其の参 ■■

オープニング。暗闇の中から 「走らなければ!」 と沖田の声が響き、音楽とともに一筋の光。

そして、振り向きざまに刀を構える沖田登場!

うわー、カッコイイー! と稽古場で絶賛だった登場シーン。

本番、沖田君は音楽と共に振り向き、「あれ?」 と思ったらしい。

なんと、一条の光から外れている! うわ、カッコ悪いーーー!

けれど動くことも出来ず、明里さんがセリフを喋っている間に、じりじりじりじり……とうごめいていたらしい。

光の輪から外れてしまうのを、「蛍になる」 と言います。沖田君は立派な蛍でした。