2003.11.25 稽古場日記 担当 徳永
本番まで2週間をきった。せっぱ詰まっている。かなり。目まいがするほどに。
心身ともに疲労がピークに達する、一番イヤな時期だ。
もう2週間もない、まだ10日以上ある。まだやれる、もうあかん。
この微妙な感情の波が寄せては返し、ざわざわと周りが騒がしくなる。
右腕が痛くて上がらないという者、頭が痛くて吐き気がするという者、激しい咳が止まらない者。
満身創痍とはこのことだろう。誰一人、健康な状態ではない。
だがアドレナリンが出まくっているのか、日常の正常な判断ができなくなってきて
だんだんとマヒして疲労を感じなくなってくるからアリガタイ。
そんなラリラリな状態で今日も通し稽古をした。
ずらずらーっと、前でたくさんのスタッフさんが見守る中、音響や照明のきっかけを
確認しながら進めていった。
当然のことというか、通し稽古の後、ダメ出しの嵐である。うーん、つらい。
自分の為とはわかっていても、やはりこの時期のダメ出しはつらいのだ。
それでも打ちひしがれてはいられない。立ち上がれ、ファイティングヒーロー!!
と自分に言い聞かせつつ、この雑草のような図太さを育ててくれた両親に感謝だ。
こんな絶望的な悲観的な重苦しいムードの中、ぱあっと場の和むことがあった。
美術担当のGさんが、私(山南)が劇中で使う[桜の盆栽]を仕上げてきてくれたのだ。
この寒い時期に桜の盆栽など市中に出回っているはずもなく、だが必須アイテムのこの
[桜の盆栽]をどうするのかは重要課題となっていた。
「盆栽、作ってきます」と明言していたGさんは、今までにも多数、驚嘆の小道具、大道具を
作り上げてきている。
だから期待はしていた。けれど、これほどすごいものを作り上げるとは…。
毎回、Gさんの職人技術には圧倒される。すごいすごい、しか言葉が出ない。
こんな美しい小道具を作ってもらったのだから、やはり応えなければならないだろう。
Gさんありがとう、私やるわ!頑張るわ!と、ラストスパートをGさんに誓う。
……けど、毎回こんなだよなあ。
たしかに今回は時代劇で、殺陣はあるし、作法とか着付けとか慣れないこともやってるし、
いつもより稽古期間が短くて、あっという間にここまできたけど。
でも上演時間は1時間10分だ。
だから3時間しか稽古場が使えなくても一度は通し稽古ができる。流れが確認できる。
以前、2時間15分ぐらいの芝居をやったことがあるが、その時は、通し稽古なんてほとんど
できなかった。初めての通し稽古は、本番前のリハーサルだったりした。
考えてみれば、毎回、公演が近づく度に「もうあかんーー!」と絶叫している。
「ホールが火事になって燃えたらええんやー!」と叫んでいる。酒の量もダンゼン増える。
きっと今回も本番が終わる瞬間まで、現実と向き合いつつ逃避もしていくんだろう。
もう、小さなことからこつこつと、地味に地道に今の自分にできる事をやっていくしかない。
本番が終わってしまったら敬さんともお別れなのだから、
悔いのないようにお付き合いしておかねば。
とりあえずウィスキーでも飲んでエネルギー補給するかあ。