2003.11.18  稽古場日記 担当 徳永 

本番まで3週間をきった。なのにセリフがまだ完全に覚えきれていない。

刺身や青魚を摂取し、脳内DHAを増やしたりして努力しているが

やはり本人の努力が足りないようで台本最後の5,6ページがどうも危うい。

だが台本最後の5,6ページというのは要するにクライマックスだ。

そこが危ういというのは…致命的だよなあ。(-_-;)

今日の稽古場には、舞台監督、照明担当、音響担当、美術担当、演出補など

スタッフ陣が勢ぞろいだった。

今回のスタッフ陣は、ハイクオリティな最強メンバーで構成されている。

なにせオーラが違う。ずらりと前に並ばれると圧巻。萎縮してしまうほどだ。

こんなに脇を固めていただいているのに、どうも役者のレベルが追いついていない。

だが困った困ったと悩んでいるほど、残された時間も多くはない。

残された時間を私たちなりに一生懸命やるしかないと、気を引き締める私たちだ。

しかし、ここにきて、もうひとつ困った問題が最近起きている。

沖田くんが想像以上にワガママなのだ。

沖田総司を演じる葵さんは、どうも最近「沖田くん」がのりうつってきているようで

ダダをこねることが増えた。

先日の事、某有名店でメロンパンを多めに買ったので、梦月さんにあげようと思い、

呼び出して渡した。梦月さんと私は家が近い。チャリで5分の距離なのだ。

そのことを稽古場で葵さんに話すと「どうして私にはくれないんですか!?」と

食ってかかってきた。

「ええ〜?だって葵さんちって京都でしょ」と言うと「呼んでくれたら行くのに!」と応酬する。

「そんな、メロンパンの事で大阪まで呼び出せるわけないでしょ」と言っても聞いてくれない。

壁に向かって三角座りをして「山南さんはひどい、明里しか見えてないんだ」を連発。

その時のことを2週間にわたって責められたので、もう一度行列に並んで買ってきた。

「はい沖田くん、メロンパンだよー」といって渡すとものすごく喜んだ。

…当時の沖田総司がこんなにワガママだったのかどうか知らないが、若く純真な彼は、

確かに新選組の皆から可愛がられていたようだ。

沖田総司を幼い頃から知る山南敬助も、弟のような総司に振り回されていたのだろうか。

そんなふうに考えていくと、困難な役作りも割と楽しい。

深く当時を考えながら最後の5,6ページを埋めて、いいものを完成させたいと思う。

あと少し、みなさまよろしくお付き合いのほどを。m(_ _)m