FA お稽古場日記(PART 3)



皆様、今日は!今週もお稽古場日記の時間がやってまいりました。

「VAMPIRE」公演のお稽古は立ち稽古もラストを残すのみになり、関係者そろって暑い夏に負けず更にヒート・アップしてきております!衣装、装置、音響も

調整に調整を重ねる姿勢で現在、がんばっています。・・・役者も・・・役者達も・・・

がんばっています・・・よ。いや、ほんっっとにがんばっています。FAでは毎年「夏」

公演がある為、誰も「海」「白い砂浜」「うちよせる波」なんてものをナマで見ていません。・・・昨年の今ごろは「ウテナ公演」の殺陣とダンス振付をしていましたし、その前は「1999―夏公演」で大、小道具を作り舌噛みそうなセリフと格闘していました。だから・・・FA関係者は夏のリゾート!というものを知りません。「海」や「プール」等、夏らしい風景を何かで見かけると恨みがましい目で
じっとそれをみつめています。FAの夏・・・それは公演稽古と共に過ぎていくのです!!ああ・・・いつか海に向かって「バカやろう!!」と叫びたい!



「若葉」から「エリーズ」へ・・・やっぱり飛びつくのね!

昨年「ウテナ」で「若葉」をやっていた本田司は今回ヒロインである事は前回に書いたと思う。昨年は主役のウテナに向かって飛びついてはなれなかった「若葉」・・・やはり、今回も「シモンお兄様」に飛びつくシーンがある。しかし、「ウテナ」ではどんな風にぶざまに飛びついても「ウテナ」からはなれなければいいといわれていた本田・・・今回はちょっと勝手が違う。兄のシモンが久しぶりに帰ってきたので嬉しくてその首に飛びつくという設定だ。それを受けた兄シモン(桐生忍)が妹エリーズ(本田)を抱きしめてぐるりと回る・・・のだがこれがまた、うまくいかない。下手をすると「引越しのサカイ」の新CMのようにお互いの体を弾き飛ばす結果になってしまう。二人は顔を合わすとこのシーンの練習に余念が無い。がんばれ!引っ越しのサカイ!!



やっぱり「本田」のはなし・・・。

ある日の稽古場、「本田」演じる「大原菜月」は電車の事故に巻き込まれる。
脚本設定は夜遅くに一人で踏み切り近くを歩く「菜月」ということになっている。演出が「本田」に質問した。「何故、菜月はそんなに夜遅くに踏み切り近くを歩いてた?」ホンダ・・・すかさず答える。「いや、お腹すいたからコンビニにでも行こうと思ってたんですよ、きっと!」・・・そりゃ、「菜月」じゃなくてキミでしょ?ホンダ君!!



西園寺「莢ちゃん」から大原「貴ちゃん」へ!

  昨年「西園寺莢一」を演じていた「徳永」は今回「大原貴文」という役を演じる。昨年は「莢ちゃん」と呼ばれ今回は「貴ちゃん」と呼んでほしいらしい・・・か、どうかは知らないがとにかく「莢ちゃん」とか「貴ちゃん」と呼ばれている。「桐生冬芽」役だった「葵」は「聖」という役なので「聖ちゃん」??のはずだが暗い役なのでまだ誰もそう呼ばない。ある時、徳永を「莢ちゃん」と呼んでしまった「葵」は「・・・私、冬(とう)チャンでもいいよぉ〜。」と気のぬけた返事。徳永「会社帰りのおトウちゃんみたいやし嫌やっていうてたヤン!」・・・本当は去年の桐生冬芽時に「トウちゃん」と呼んでほしかったんかい?



舞台監督「NAGURI」氏の登場!!

  ある日、演出家「中野」は舞台監督「NAGURI URU」氏と共に公演会場の下見に行くことになった。神戸までは「中野」の車にて移動する事になり合流できる最寄の駅にて「NAGURI」氏を待つ。朝8時40分・・・NAGURI氏は駅前に立っていた。ジャケット、パンツ、シャツ、総黒ずくめの装いに黒のサングラス・・・確かに普段から「京都の裏方界のドン」のような人で黒い服姿は見慣れていたが、どうみてもこの日の装いはどこかのヒットマン・・・。車から降りて、ドアを開け「お疲れ様です!!よろしくお願いします!!」と力入れて話しているのを見た駅前を通り過ぎる人たちは、きっとどこかの「組の人」と思ったことだろう。「今日のクライアント(依頼人)は誰ですか?」と聞きたくなってしまいました。ひょっとして・・・ほんとにそうだったりして・・・。



桐生忍の悲劇

  桐生忍は今公演で「シモン」という熱血の医者を演じている。物語の内容がどちらかというと重いので、演出家はこの「シモン」にコメディ的要素を求める。「桐生」は本来、本能のままに役を演じるタイプでコメディでも気にせず乗りに乗って楽しんで役つくりをするのですが、昨年の「ウテナ公演」で「有栖川樹璃」をやる事になった時、「本能で演じないであくまでも美しく、優雅に演じてください!」と演出から注文をつけられ、ものすごく悩んで「樹璃」さんに変身していました。・・・それなのに、今回は「本能のままに演じて下さい!」とまたもや逆戻りの注文をつけられ、またもやすごくすごく悩んでいる。しばらく、戸惑ってブツブツ言っていた桐生氏「・・・大丈夫!樹璃サンだってやれたもん!!」と前向きにがんばる宣言。しかし・・・「樹璃サン」と「シモン」・・・

ちがいすぎる・・・。



ミッキーと冬芽・・・姉妹に??

  今回の脚本は既に何回も改訂が行われ、やっと今の形になった。(・・・これからも改訂があるかもしれない・・・というオソロシイ噂も流れている!)はじめの脚本ではヒロインは二人だった。マリーとエリーズ・・・という華麗な少女二人が19世紀ヨーロッパ風のドレスに見を包んで、お花畑を探しにいくという可愛らしいオープニングだったのです。・・・ま、今となっては「幻のシーン」・・・ですが。ある日、しみじみとホンダが言った。「マリーとエリーズのシーンをミッキー(こいつは今でも「ミッキー」と呼ばれ続けている)と「葵サン」(冬芽をやった)がやってるところ見てみたかったわ!」・・・周りにいた人間は、みんな一瞬で想像して・・・一瞬でその光景を消し去りました。・・・そんなの、観てみたいですか?「ウテナ」ファンのみなさん・・・(^^;)



優也は・・・鉢植えを持ってくるはず・・・?!

  今回の物語は「ヴァンパイア」がテーマで、「ヴァンパイア」としてずっと生き続ける人、前はヴァンパイアだったけど人間に生まれ変わった人・・・等、いろんな環境の人が出てきます。「葵かずき」演じる「聖」はヴァンパイアとして何百年も生きてきた存在で「和泉晶」演じる、その親友の優也は元ヴァンパイアで人間に生まれ変わり「聖」に生きることの尊さを伝えようとして鉢植えの植物を手渡すシーンがあります。ある稽古の日、鉢植えの小道具がみつからなかった「和泉」・・・考えて周囲を見渡し一番鉢植えに近い形のものを「葵」に渡す。「葵」・・・絶句。「和泉」が持ってきたのは稽古場のすみにあった丸型のゴミ箱だった。だって・・・それでも、考えたんだぞ!!



「黒夢さん」がやってきた。

  ♪黒ヤギさんからお手紙ついた、白ヤギさんたら読まずに食べた・・・♪

どうしてもこれを歌いたくなるのは私だけだろうか??この舞台では「時」がテーマになる為、「黒夢」という名前の「時の女王」的な役柄がある。演出家は特にこの役にこだわりがあるらしく「説得力のある声と立っているだけで存在感のある女優さんがほしい」という注文に制作スタッフは何人もの候補をあげる。そして・・・「黒夢」さんはやってきた。まさに演出家の注文どうりの女優さんだ。「武内直美」さんというその女優さんは初稽古で既に演出家の要求に応じるに足りる演技を見せてくださった。う〜ん!・・・かっこいい。みんなが尊敬と憧れのまなざしを向けているその人は・・・お話してみると・・・やっぱり、わがFA向きのセンスを持っておられた。素敵なセリフを喋り終えた後、変な踊りでみんなを笑わせていたのは・・・本来の姿じゃなく、気を遣ってくださったんですよ・・・ね・・・???そうだと言って!!



・・・てなわけで、お稽古はどんどん進み「ネタ」もどんどん増えつつある今日この頃・・・。まだ、ここに載せていないのがいろいろあるのですよ〜!・・・来週号に期待してください!!・・・ってそんなん期待させてどうする?さ〜〜て!もうすぐ7月です。このままじゃ、あっという間に本番が来そうですよね。がんばらねば!!まだまだ「梅雨」のジメジメが続きそうですが皆様もお体に気をつけて毎日お過ごしくださいね!そして!!・・・夏はぜひ、ぜひ!!神戸まで来て下さいね!!それではまた次号でお会いしましょう。お便り、BBSへの書き込み待っています。よろしくお願いします!