お稽古場日記 本番編PartU!!



 毎度お待たせ致しております。お稽古場日記本番編PartU登場であります。

その後FA的生徒会メンバーはどうしているかと言いますと、欲望の赴くまま勝手気侭に

過ごしています。それぞれの欲望を満たしているのかと思いきや、みんな気が狂ったよう

に「暴飲暴食」に足並み揃えて走っております。もうそれは、稽古中こんなに息が合った

事がお前達はあったのか!?と言いたくなるほど、皆の口からは「暴飲暴食」・・・。

・・・確かこの四文字熟語は有栖川樹璃様の口から生まれた言葉。彼女のウエイトコント

ロールは周りの誰もが脱帽モノでした。でも、それだけに、何にも代え難い欲望として彼

女のからだの中には存在したのでしょう。‘今一番欲しいものは?四文字熟語で答えよ’と

いう、パンフレット用の質問に即答で「暴飲暴食!!」とお答えになった、樹璃様。

それから公演終了まで、密かに生徒会メンバーの中では、‘もうすぐ暴飲暴食’この言葉が

合い言葉となっていました。いざ、公演終了、堰を切ったように皆の「暴飲暴食」が始ま

ったのです。ちょっと待ちたまえ!!…ここで、万能の生徒会長「桐生冬芽」登場…

オレはそんなことしていないぜ・・・君たちが開放感に酔いしれていた時、海外留学して

いたんだからね。(葵冬芽、コロスダンサー達と本当に渡仏していたのです)・・・留学は

「ウテナ」公演時のコロスダンサー達と一緒だったんだ。言っておくが女の子に囲まれて

いたとは言え、あくまでも留学だったんだからね。・・・やかないでくれよ、ベイビー!

 ウテナ「・・・帰って来なくて良かったのにね・・・。」



 アンシーひたすら「暴飲暴食」

この時期に狙ったようにかどうかは神のみぞ知るですが、ちょうど、公演終了直後のお稽

古日にお稽古場近くではその辺り挙げての大きなお祭りが行われていました。この日はビ

デオを見ながらの反省会をしようという事になっていたのですが、いつもは厳しい演出家

より頑張った皆んなへの御褒美として、反省会の前に少しだけそのお祭りの縁日に行こう

という事になりました。メンバー小躍りして喜び、いざお祭りへ。まず、公演成功の御礼

とこれからの頑張りを約束するため、お参りをし、ふと気が付くと、アンシーの目が爛々

と輝いてるではありませんか・・・。

ウテナ「ほんとにびっくりしたよ・・・。あんな姫宮始めて見た。ぼくの言ってる事な

んてまるで耳に入ってないんだから。普段からあれだけの行動力と発言力があれば、ぼ

くはもっと苦労せずに済むのに・・・。」

アンシー「(ウテナの声は聞こえてない)えーっと、まずから揚げでしょ、そしてたこ

焼・・・いえ、やきそばかしら?あぁっ!!いけない!!大好物のポテトを忘れてるわ。

もちろん仕上げはチョコバナナ。それからそれから・・・えーとぉ・・・。」

ウテナの心配をよそに桐生生徒会長からはたまごカステラを美術の吉田Gからはみたらし

団子を貢いでもらい、ますます勢いは増すばかり。いくらなんでもこのままではいけない

と演出家はお土産を買ってやるからとアンシーを言いくるめ、なんとか、お稽古場へと

戻ったのでした。ビデオ鑑賞中もアンシーはそのお土産のベーコンエッグたいやき(皆さ

んご存知でしたか?たいやきの中身があんこじゃなくて、ベーコンエッグという代物。こ

れがなかなかいけるお味なのです。)をぺろりと平らげ、先に食べたものが少し胃にもたれ

て苦しがってる樹璃さんのたいやきを見つめています。その異様な食欲ビームに樹璃さ

ん・・・

 樹璃「・・・・・食え・・・・・・。」

もちろんモノのみごとに平らげたのは言うまでもありません。

・・・ここまで書くと、アンシー一人、何て怪物のような・・・と思われますが、

他のメンバーも何でそんなに?と言うほど食に関して不摂生しております。

アンシーを勝手に心配していたウテナも、公演前は皆に散々殴られたり突き飛ばされたり

の重労働の為、周りから常に「お前は食え、皆の前で食って見せて皆を安心させろ」

と言われ続け、実際食べてもぜい肉にはならなかったのですが・・・公演終了後、肩の荷

が下りたのか、秋の到来かそのままのペースで食べ続けたウテナ、今ではあの衣装を着て

皆様にお見せできるような太股ではなくなってしまいました。

他の面々もあぁ・・もうこの紙面で紹介するのは劇団のイメージダウンにもつながります

ので控えさせて頂きます。(もうイメージなんてないって?だから教えろって?さぁて、気

が向いたらいつかお話しましょう。今日は他にも話題は沢山あるのですから・・・。ホホ

ホホホ・・・)



 冬芽生徒会長のプレッシャー

今回のウテナ公演、計4ステージを上演したのですが・・・公演をご覧の方はご存知だと

思いますが後半の始まった辺りで桐生冬芽のフリートークシーンがあります。このシーン

演出からお客様の中から女の子を選んで話しかけろ・・・と使命を与えられた葵冬芽・・・実は

結構まじめな面を持っている。「この公演四回通しで観て下さる方も多い。同じ事は2度言

えない!」かなりのプレッシャーを感じていたらしい。客席に座って携帯電話で話すだけ

でも根性が要る、話し掛けた人によって反応は違う・・・それにその直前のシーンでウテ

ナとバレリーナとのバレエシーンを終えた後、ダッシュで客席に行く為心を落ち着けてい

る暇はない。・・・オレは桐生冬芽だ!猛ダッシュで客席に滑り込んだ桐生生徒会長・・・

度胸を決めてお客様に話し掛ける。・・・ようこそ、鳳学園へ!!(内心、ドキドキ)「ウ

テナ」ファンの皆様はノリよく答えて下さったので救われたようだ。以後このシーンにな

ると舞台裏のモニター前にキャストからダンサーのみんなまで興味を持って全員集合して

このシーンを見守っていた。終演ごとにみんながはなしかける。「次は何を言うんですか、

生徒会長?たのしみにしていますよ」葵冬芽「・・・・」そこに通りかかったミッキーが

追い討ちを掛ける。「冬芽センパイ、次のトーク期待してますよ!」・・・プレッシャーの

こなきじじいにのしかかられてしばらく動けなくなっていた彼は・・・鏡に映った白い衣

装の自分を見て言い聞かせた。「オレは万能の王子様、桐生冬芽だ〜。まけるもんか〜〜!」

桐生冬芽・・・一人ぼっちの戦いだった。

ウテナ「ねぇ、冬芽。モニターの前でみんなが何て言ってたか知ってるのかい?」

冬芽「なんて言っていたんだい?」

ウテナ「しゃべりすぎー。長いぞー!!って。」

冬芽「それだけ?」

ウテナ「有栖川先輩怒ってたよ。全く話が長い!待ちくたびれてもう少しで、出ていって

引っ叩いてやろうかと思ってたら、いきなり私の名前を使いやがって!!私は冬芽に生徒

会資料なんて渡しに来てないぞ。ずっとここでモニター見てたわい!!人の事ダシに使っ

て、全く!!ってね。・・・君、生徒会メンバーに敵作り過ぎじゃない?」

冬芽「オレ以外の誰があのシーンに似合うって言うんだい?」

ウテナ「って言うか、モニターの角度が悪かったのか、冬芽の姿は映ってたけど、となり

の女の子は見えなかった。・・・だから、みんな勝手に色々想像してたんだ、何やらかして

るんだろ?・・・って。」

冬芽「オレが女の子を口説いてるところを見てやかなかったのかな、天上クン?」

ウテナ「やくわけないだろー。はぁーあ、隣に座った女の子さん、さぞかし驚いただろう

ね。ホントに付き合って頂いてありがとうございます・・・、ってね。ボクだったら張り倒してるよ。きっと、うん。」

冬芽「もっと素直に愛を告白して欲しいな、天上ウテナ・・・(頬にキスする)」

ウテナ「(平然と冬芽を平手打ちする)・・・ところでさ、君ってほんと良く喋ってたよね。

それも、普通の会話じゃなくて、ややこしい事ばかり・・・。」

冬芽「つらい思い出は・・・王子には必要なんだよ」

ウテナ「・・・一生言ってれば!?」



「薔薇の刻印」の恐怖

生徒会メンバーと天上ウテナは皆一様に「薔薇の刻印」の指輪を持っています。どうして

もこの、「薔薇の刻印」について、桐生冬芽は多くの説明をする役割を担っています。何し

ろ彼は鳳学園ホワイトハウス在住の生徒会長だから!!(・・・と言うわけでは無く、単

にストーリーの都合上なんですが・・・。)

 @「この薔薇の刻印の指輪を持つものは・・・」

 A「世界の果ては我々に薔薇の刻印を与え・・・」

 B「薔薇の刻印の掟には・・・」

「薔薇の刻印が・・・」「薔薇の刻印に・・・」「薔薇の刻印を・・・」次々にこんなセリ

フが並んでいるので、お稽古場でついに生徒会長は発狂したのです!!

冬芽「薔薇の刻印がどうしたっていうんだー!!」

ウテナ「そう言えば、本番直前まで、ぶつぶつぶつぶつと薔薇がどうのこうの呟いてたよ

ね」

冬芽「成績優秀のオレでもあのセリフには苦労したよ」

ウテナ「・・・ボクは冬芽が言ってる事、‘何だって?’‘どうして?’って相打ち打つだけで

いいもんねー。だってボクは転校生だもーん。」

冬芽「しょせんキミの学力では仕方ないか」

ウテナ「キミとボクとの間に学力の差があるとは思えないけど・・・。キミはいつ勉強してる

のさ?見た事が無いけど・・・きっと皆もそう思ってるよ。」

冬芽「(結構、グサッときている)」



・さて、そんな冬芽様、この溜まった鬱憤を何処で晴らしてるのかと思いきや、案外身

近な舞台袖で晴らしていたようです。しかも、大親友西園寺様と一緒に・・・。



 かわいい若葉(〜小ネタ集その@〜)

うちの若葉はかわいい・・・自信を持って言えちゃいます。

そんな若葉が出ているシーンをソデから見ている、冬芽様と西園寺様。二人は口を揃えて

こう呟きます。

冬芽・西園寺「かわいいな、若葉・・・」

ふと気付いた西園寺様から、冬芽様にふきかけます。

西園寺「貴様、若葉には手を出すな!」

それを聞いた冬芽様も黙ってはいません。

冬芽「お前は姫宮アンシーだけを思っていればいいだろ?」

西園寺「・・・何を!お前の様なこましに若葉を渡すものか!!」

・この二人、こんな会話をやり出すと最限が無い。しかしはたから見ているとこの

二人どこかオヤジっぽい気もするのですが・・・。



生徒会長、フェルゼン伯爵になる

本番時、バレエシーンとトークシーンを前にした桐生生徒会長はワインレッドのリボンで

長髪を一つに結わえる(まるで“ベルばら”のフェルゼン伯爵のようだと一部の声あり)

一人で美しくリボンの結べない生徒会長は「若葉」の出番が終るのをじっとリボンを手に

待っている。・・・若葉が出番を終えて帰ってくる。出迎えた桐生冬芽が若葉を力いっぱい

抱きしめる。冬「お帰り、若葉!」若「ただいま」しばらくの抱擁・・・と思いきや、

彼は若葉にリボンを差し出す。冬「よろしくおねがいします!」・・・そして彼は若葉に

リボンを美しく結んでもらい・・・凛々しく舞台へ出て行った。



樹璃様の縦ロールについて(小ネタ集〜そのB〜)

有栖川樹璃様のカツラは原作にそっくりの代物でこれはヘアーデザインをして下さった

コアフールfanfanの担当デザイナー様のご苦労の賜物です。この縦ロール、厄介な

問題がひとつ・・・他の長髪キャストは「顔にかかってうっとおしい!」といったつらさ

があるのですが樹璃様のカツラはもつれやすいのともう一つの難点、踊ると縦にゴム上に

びょんびょんと伸びて非常に滑稽であると言う点だ。樹理様「これって縦ゆれしておもし

ろすぎないか?」・・・言われるまではなんとも思わなかったがそういわれて改めてみると

まるでバンジージャンプのゴムかコイルのようにはねてたいへんおもしろかった。

・・・おこらないでね、樹璃様・・・。



コロスダンサーの彼女たち(小ネタ集〜そのC〜)

今回の公演で、要でもある‘コロスダンサー’として出演した彼女らは京都に拠点をもつ

Watanabe’s Stage Jazz Centerの若手ダンサー達でアンケートを読んでいても「ダンサー

がカッコ良かった」と書いて下さる方が非常に多い。確かに鍛えぬかれた彼女らのダンス

は美しい・・・スタジオでの振り付け時からその美しさ、パワフルさはため息が出るぐら

いだった。本番時も一糸乱れぬスペクタクルなダンスシーンを展開してくれた。メンバー

もスタッフも皆彼女らのファンになった。・・・公演終了の2週間後桐生生徒会長は彼女等

のフランス公演について、留学をした。密かに彼女等のファンだった彼は彼女等が実は大

変個性豊かなギャグセンスを持っている事を目の当たりにしてそのギャップにショックを

受ける事になる。(このネタは‘桐生冬芽フランス留学日記’をご期待下さい!)



恐るべしミッキー!

ある日の休憩中、生徒会メンバー達が集まって談笑していた。「そう言えば少女革命ウテ

ナ」の小説版って原作とはまた違った面白さがあるよね」「樹璃の心理が参考になる」「若

葉とのストーリーが描かれていて感動だ!」などと皆さんそれぞれの感想をお持ちのご様

子・・・「そういえばミッキーと冬芽って小説版では***な関係なんだよね」「・・・」

「うんうん、びっくり〜!」そこでふざけた葵冬芽は浪花のミッキーこと辻田ミッキーを

床に押し倒す「そうか、そういうことなら・・・いいかい、ミッキー!?」しかし、その

瞬間形勢逆転され、ミッキーに組み敷かれる冬芽・・・「冬芽センパイ・・・ボク、おそわ

れるより襲う方が好きです!!」「うわ〜止めろミッキー!!」・・・危うし、桐生冬芽・・・



西園寺の憂鬱

ステージの後半で学園を去る西園寺がアンシーに会いに来るシーンがあります。

このシーン非常に西園寺らしいギャグセンスを含んだシーンでもあります。「いってらっ

しゃい、西園寺センパイ」とアンシーに声を掛けられた彼はその言葉に深く感動し自ら

「行ってらっしゃい西園寺センパイ!」をかみしめるように連発する。その日の公演によ

ってこのシーンが笑いを取る日とそうでない日がある・・・ウケナカッタ日は西園寺セン

パイはひどく落ち込んでいる。その落ち込み方を見て・・・やっぱりこいつは西園寺君だ

な〜と皆が思っている事を果たして彼は知っているのだろうか?



・ ・・まだまだ・・・ネタは尽きる事はないのです。しかし、ウテナ公演は無事終了致し

・ ました。(いろいろありましたが・・・)一重に支えて下さった皆様のおかげです。

またいつかこの「少女革命ウテナ」を違った角度から舞台化させていただくことができれ

ば・・・と思います。本当に有り難うございました。

この公演を支えて下さった全ての皆様、「少女革命ウテナ」公演無事終了致しま

した。ありがとうございました。

今後ともFANTASY ADVENTUREをよろしくお願い致します!

心からの愛情と感謝をこめて・・・

・・・この想いが皆様に届きますように・・・



さて・・・FAではすでに次回公演の準備が始まっています。次回公演は12月クリスマ

ス公演です。ぜひまた、劇場でお会いしましょう!

また、次公演のお稽古場日記、桐生冬芽フランス留学日記・・もお楽しみに!!

有り難うございました。劇団、キャストへのお便りお待ちしています。どうぞよろしく!!