お待ちかね!!お稽古場日記第四弾!!

お久しぶりの天上ウテナでーす。ちょっと留守してる隙に何だか

日記が勝手に進行している・・・。これはいけない!!生徒会の面々に

ボクと姫宮のお稽古場日記をのっとられてしまう・・・。とりあえず

姫宮を呼ばなくちゃ・・・。

ウテナ「おーい!!ひめみやー!!お稽古場日記の時間だよー

出ておいでー!!」

(何処からともなく叫び声)「うわー!!ほ・・・本番がぁーっっ!!」

ウテナ「???何だ?本番が何だって?まさか姫宮じゃないよね。

・・・おや?あんな所に生徒会長がいるぞ。ちょっと呼んでみよう・・・。

生徒会長!なんか叫び声聞こえなかった?」

冬 芽「ん?どうした天上?オレには何も聞こえなかったけど?」

ウテナ「そうかなぁ。確かに聞こえた。」

冬 芽「空耳じゃないのか?」

ウテナ「んー。本番がどうとか・・・。あれ生徒会長が言ってたんじゃ・・・。

うん!確かに君の声だった。」

冬 芽「いや、オレはそんな事言った覚えはない。」

ウテナ「本当にぃー??」

冬 芽「何だ。その疑いの眼差しは?・・・天上愛の告白なら何時でも待っている。」

ウテナ「また、そんな事言ってる・・・。まっそんな事言える余裕があるならいいけど、

舞台本番が近づいて、パニックしてるのかと思った。」

冬 芽「オレは鳳学園生徒会長としてどんな時も冷静なんだ。そんな訳がないだろう?」

ウテナ「・・・ウ・テ・ナ公演・・本・番・真・近!!」

冬 芽「うっ・・・うわー!!」

ウテナ「ほら!!やっぱりぃ。」

冬 芽「天上!!許せない・・・例えキミでも。キミは恐くないのか?」

ウテナ「ボクが恐がる訳ないだろー。」

冬 芽「本当に?キミはダンスが殺陣が恐くないのか・・・?」

ウテナ「ボ・・ボクは・・」

冬芽・ウテナ「うっ・・・うわー!!舞台本番がやってくるー!!」



・・・さて、こんな二人のやり取りは放っておいて、本題に入りますか・・・。



 ウテナ公演と言えば注目するべき一つに衣装も勿論入ると思いますが、

そんな衣装合わせの一場面でなんと?桐生冬芽様がハトになちゃいました!!

何て事はない冬芽様のおちゃめなんですけど、彼はやはりプレイボーイなだけに

自分の身なりにはかなり神経を遣っています。衣装姿が綺麗に見える為あらゆる

努力を惜しまない彼・・・。何やら一生懸命胸の辺りをゴソゴソやっておられます。

一しきりゴソゴソして、彼は微笑みながら生徒会の面々に近づき「オレの胸元を

触ってくれ」と言ったのでした。その中の一人がいぶかしげに彼の胸に手を触れると

「ふるっふー!!」突然冬芽様は鳴き出したのです。みんなは頭をかしげ、

何のこっちゃと思っていると、彼は「逞しく見せる為に胸板いれたんだけど、

何かハト胸になちゃった。」・・・・・と言う訳で暫くの間冬芽様はハトになった

まま皆のおもちゃにされたのでした。



 そんな衣装のお話をもう一つ。衣装を付けてのリハーサル中、出番の合間に

冬芽様と西園寺様はあまりの暑さに上着を脱いでました。次の出番が近づき、

二人とも同時に上着を着て次のシーンに望んだのですが・・・

冬芽「ん?何か着心地が変だ。オレの上着やたらでかいぞ。」

西園寺「何だ?このやたら小さい上着は・・・?オレ、また成長したのか?」

その様にお二人は思いつつ、冬芽様はふと自分の左腕を見て見ると白いはずの

袖がグリーンでした。西園寺様は西園寺様で自分の上着の袖をいぶかしげに

見つめ・・・ふたりは、はっとお互いの顔を見合わせました。急いで上着を

着たものでどうやら二人は上着を交換してしまってたらしいのです。何とも

仲良しなお二人でした。

冬 芽「やはり・・・オレ達は親友だな、西園寺・・・。」

 

 お二人のとてもお熱い仲を見せて頂き、その暑さから暑かった夏のお稽古の

ことを思い出してしまいました。夏と言えば合宿!というそれは合宿の初日の出来事です。

とりあえず今回のこのウテナ公演は小道具、衣装などなど荷物が多いのです。いや、別に

荷物が多い事がこの話に関係ある訳じゃないのですが、その荷物を皆がせっせせっせと

運んでいた時、いらんことばかりに目が付くウテナはロビーの時計が

一時間進んでいることに気が付きました。ロビーの時計が進んでいるなんて

皆困るじゃないかと、また要らぬお節介な事を考えながら、お稽古場になる部屋

へ入ると、そこも1時間進んでいるのでした。そこからウテナがこの独特の

勘違いと、わずかばかりの知識で考え付いたのが、

・・・もしかして、この合宿場サマータイム実施中??なのかと言う事でした。

皆さんご存知だと思いますが、夏の間太陽が出ている時間を有効に利用する為に時間を

一時間進めて生活するというものです。おお、日本でもそんな画期的(?)な

事が始められてるのだと感心していたウテナでしたが、ということは、お稽古場

一時間分損してるじゃないかー。と言う少しみみっちい事が頭をかすめました。

少し焦ったウテナは皆にその事を言い、みんなはまさかーと思ったのでしたが、

確信が無い。面倒見のいい影制服のピアニストは受付まで尋ねに行ってくれたのでした。

すると、何てことはないただの間違いで(しかし館内全てが間違えてるというのも不思議

な話。)早急に直すとの事でした。でも、一件落着じゃなかった。一気にその時間まで

直す事は出来ないらしく、23時間分、館内の時計は分を刻む針が秒針の様に

くるくるくるくる回っていたのでした。

またいらんところばかり見てるウテナはそれを見つめ、一人気分が悪く

なっているのでした・・・。



 皆さん、今年の夏は異常に暑かったですよねー。もういつもより冷房代が

高く付いたわ・・・と嘆いておられる主婦の方々が多いのではないかと

思います。しかし、我がFAのデュエリスト達は皆冷房に弱い。そんな私達に

ぴったりな(?)扇風機だけがある、手ごろな大きさの体育館みたいなお稽古場

を夏場は良く利用しています。しかし、暑い。そこでお稽古していると、身体の

水分は汗としてどんどん取られ、飲んでいる水の量はゆうに2、3リットルは越してる

んじゃないかと言う程汗をかきます。そんな暑いお稽古場も夜になってくると

やはり若干の涼は望めるものです。いやーちょっと落ち着いたかーと皆がほっこり

している中、もう暗くなった体育館の横べりの芝生で何か人影が!!はっと見て見ると

有栖川樹璃様がどっかと座っていらっしゃる。僅かばかりに吹いている風に目を

細めながらゆったり物思いにふけっておられる。あぁ正しくあなたは樹璃さんだわ・・・

と見とれていると、こちらに気付いたのか、ふっと笑いながら「樹璃の夕涼みさ」

と呟かれた。訳わかんないぞーと思いつつもなんかカッコイイ、やっぱこの人が

学園の裏を牛耳ってる人なのねーと更に見つめていると、あんなに穏やかだった

樹璃さんの微笑みが急に歪がみ、居も立ってもいられないという面持ち

で、芝生の上を逃げ回ってます。どうしたんだろ?と振り返るとそこには小道具係がちょ

うど、小道具の風船を膨らませているところでした。

 樹璃「ひゃー。まだ膨らますのー?ひゃー」

あぁ。やっぱり人には苦手なものがあるのですね。こんな凛々しい樹璃さんにも怖いもの

があったというお話。しかし、風船よう膨らませんとは・・・。



そんな風船を使ったシーンのお話。全く舞台の上で、動物等の様にどう動くか分からな

いものを使わなくては行けないシーンと言うのは怖いもので、この風船と言うのも空調

の都合では何処に飛んで行くか全く分かったものではありません。そういう風船を樹璃

さんと幹君とが打ち合うというのです。しかも台詞言いながら・・・。まともにこのシ

ーンをやり通せたのは数える程。途中で割れたりあらぬ方向に飛んだり、それを傍観し

ている冬芽様の顔にぶつかったり、周りで見ているこちらはハラハラしたり笑い転げた

り。しかもこのシーン後半に行くほどヒートして行くのです。もう樹璃さん幹君、二人

とも何の為にやっているのか分からない。とりあえずこの風船生かしておくかー!とい

う勢いで打ちまくる。勿論そんな台詞にだろう!と言う言葉まで出てくる。あまりの加

熱ぶりにとうとう

演出側から「上品に軽やかに余裕を持って」と言うなんとも二人には酷な指示が出ました。

ヘロヘロになりながらお稽古している二人の間に立っている冬芽様は自分も混ざりたくて

うずうずしているし、その中を割って入ってくるウテナはこの加熱しすぎた場面にどうも

入りづらくいつも「ごめんなすって、おくれなすって」と手を振りながら入ってきてしま

う。果たして本番、まともな演技となりますでしょうか?



 「うわあぁっ!!何てこと?!」

・・・おや今度は誰でしょう?また叫び声が聞こえますね。

 「おわあぁっ!!やっぱり!!どうしよう!!」

冬 芽「どうしたんだ?天上。そんなに叫んだらオレの事笑えないぞ」

ウテナ「どうしよう?冬芽。消えた・・・消えちゃったー!!」

冬 芽「・・・何が?」

ウテナ「折角書き込んだお稽古場日記の続きが消えちゃったー!!」

冬 芽「なにぃー!?オレと君の汗と涙の愛の結晶が!?」

ウテナ「・・いや・・何もそこまで言ってない・・・ケド・・。」



・ ・・どうやら、折角他に盛りだくさんあった日記のフロッピーを何処かに無くしたらし

・ く続きが消えてしまったようです。・・・何てこと・・・。



ウテナ「(かなり落ち込んでいる)あぁ・・冬芽、今回ばかりはすまない。ボクが悪か

った・・・。」

冬 芽「・・・天上。君らしくない。気にするな。オレは気にしてない。(実はやはり

ショックである)」

・・・そこで姫宮アンシー登場。

アンシー「ウテナ様・・・。(なぜかうつむいている)」

ウテナ「あっ!アンシー!どこ行ってたの?探したよ。ねぇ聞いてよ!ひどい事になち

ゃったんだ!」

冬 芽「ちょっと待て、天上。何だか姫宮の様子がおかしいぞ。」

ウテナ「あれ?姫宮旅支度なんかして何処か行くの?」

アンシー「ウテナ様許して・・・!!」

・・・走り去ろうとしたアンシーを引き止めようと腕を掴んだウテナの目にアンシーの

手に握られた真っ二つに割られたフロッピーが目に入ります。

ウテナ「!!姫宮!?君っ!!どうして君がそんな事を・・・。」

冬 芽「そういえば天上、この続き確かアンシーは散々な書かれ方してたんじゃ・・。」

・ ・・どうやら、アンシーは自分の醜態がばれないうちに、後始末しようとしたみたいな

・ のです。物凄い勢いで、アンシーはウテナの手を振りほどき走り去ってしまいました。

ウテナ「あぁっ!!待ってよ!姫宮!!」



さてここで気になりますは日記の続きです。二つに割られたフロッピー。果たして皆様

に続きをお目にかける事が出来るでしょうか?いづれにしてもこの続きは舞台本番直後

となります。皆様、しっかり本番の内容を記憶しておきましょう。そうすれば、後程こ

の日記の続きを読んでも何処のシーンかが分かり楽しんで頂ける事になります。そして、

この後ウテナ、冬芽、アンシーはどうなったか?それは、まだ内緒・・・。また次のお

稽古場日記でお目にかけましょう。



 では、劇場でお会い出来るのを楽しみにしてます。



 冬芽・ウテナ「あぁっ!!もうすぐ!もうすぐ本番だー!!」